漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです2【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ10)

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第五十話『ソノ続キハ何ダ』ページ10

太｢さあ､そろそろ反撃といこう｡こちらも手札を切るよ｣

太宰は敦に諭し､立ち上がった

太｢三百ある中で一番刳い鬼札をね｡この戦争に政府機関を引き摺り込む｣

ニッと笑いかける太宰に敦は暗い顔をした
太宰は判っているかのように｢大丈夫だ｣と云う

太｢芥川君の事だろう?あの子なら問題ない｡それに先に攻撃を仕掛けたのは彼女だ……君は思い詰めなくていい｣

敦｢……違います｡彼奴は僕を……ナオミちゃんや春野さんを守ってくれました｣

太｢……そうか｡君がそう思うならそれでいいと思うよ｣

太宰は目を伏せ微笑み､ナオミと春野を連れ歩いて行った
敦はひとり自分の手を見つめる

────黙れ!!ゲホッ､僕を倒すだと!?巫山戯るな!お前は既に僕の

敦｢僕は既に芥川の──その続きは何だ?｣

ぐっと拳を握り締めて太宰の後を追った

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横浜の街のとあるビル
敦は重い足取りで階段を上りその先の扉を開けた

紅｢おや｡珍しいの童､そなた一人かえ｣

紅葉は少し驚いた顔をしたが直ぐに余裕のある笑みを浮かべ｢寛いでゆけ｣と本を捲る

敦｢……｣

紅｢何､浮かない顔じゃな｡不手際を為出来かして前線から逃げて来たかのう?｣

判り易く反応し唇を噛み締める敦｡紅葉は｢図星か｣とお茶の用意を仕出した

敦｢違う｡僕は……ただ皆を守ろうとして……｣

紅｢……童を見ていると昔の芥川を思い出すのう｣

敦｢(芥川……だって?)｣

弱く仲間さえ守れない自分と､昔の芥川とどう関係があるんだ?
敦は怪訝な顔をして紅葉を見る

紅｢昔の芥川も嘆いておった｡仲間を守れるくらい“強くなりたい”と｡今も事あるごとに云っているがの｣

敦｢……｣

……同じだ｡敦は思わず目を見開く｡しかし今の芥川は充分強い､軍警も歯が立たない程に……

敦｢彼奴､芥川は本当に殺しがしたいのか……｣

茶を飲む紅葉の手がピタリと止まった｡そして鋭い眼光で敦を睨む

紅｢童……芥川をなんだと思っておる｣

敦｢……えっ｣

紅｢唯のなんの感情を持たず人を殺す､殺人機械(ﾏｼｰﾝ)でも思っておるのか?｣

敦｢そんな訳ない!芥川は……｣

否定した｡しかし､その後の言葉がどうしても見当たらない
紅葉は呆れながら口を開く

紅｢少なくとも芥川はお前より強いのう｣

敦｢彼奴は異能を扱うのに長けてい((紅｢その強さじゃない｣……え?｣

紅｢芥川の意志が強いんじゃ｣

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