漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです2【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ6)

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第四十六話『矢ッ張リ､面白イ子』ページ6

‹ 福｢……至急事務員に避難指示を｡それから国木田に繋げ｣ ›

堪えるように言葉を紡ぐ福沢に胸が痛む芥川
中也はひと仕事を終えたと伸びをしていた

『中原さん､此処からは自由(・・)行動ですか?』

中｢ああ､まぁ暫くは何もねえと思うぜ｣

『なら僕はこれで失礼し((中｢何処に行く気だ?｣……』

背を向け歩き出した芥川を睨み付けるように中也が鋭い言葉を放つ

中｢真逆と思うが……事務員を護るとか云わねェよなあ?｣

『僕はポートマフィアの幹部ですよ?護るのはマフィアの人間だけです』

チラリとカメラを見て再び歩き出す
その背中を今度は賢治が呼び掛けた

賢｢そっちは出口じゃないですよー!｣

中/与｢｢『 ………… 』｣｣

シンッと静まる｡芥川はゴホンっと咳払いをし､仄かに顔を赤くさせながら方向転換をし､何事も無かったように歩き出す

与｢……方向音痴かい｣

『与謝野さんそれ禁句です』

与｢そういえば怪我してるねえ……｣

賢｢黒い外套に血が……｣

『付いておらぬ!!』

そう叫び白い外套が伸びる

与｢……ッ!?｣

芥川は後ろを振り返らず全速力で走り出した

与謝野と賢治はある一点を見て固まっていた｡その視線の先には粉々になった鉈だ

中｢それが“純白ノ番人”だ｡あの白い外套は､主……芥川に害を及ぼすものと判断したら全て粉々にする
それも芥川の意思と関係無しにな｣

与｢……黒い外套と違うのかい?｣

中｢あれは芥川の意思で動く獣だ｡まあ､俺が云えるのは此処までだ｡だが一つ忠告しておく｣

ニタリと笑い与謝野と賢治を見る

中｢黒い外套の芥川より､白い外套の芥川の方が危険だ｣

賢｢……逆じゃないんですか?｣

中｢さあな?｣

与｢……それ以上は云えない､か｣

ヒラリと片手を振りながら去っていく中也
その光景をビデオを通してみていた乱歩は考えていた

乱｢……成程｡“純白ノ番人”は厄介だね｣

凡てを見透かしたような緑の瞳はぎらりと光っていた
すると国木田に連絡をしていた福沢が乱歩に近付く

福｢如何した､乱歩｣

乱｢いいや､Aも大変だなぁって｣

袋を開けながら呑気に云う乱歩の顔は大好物の駄菓子を目の前にしているのにも関わらず眉を顰め､鋭い視線をビデオに向けていた

乱｢(Aが帰る間際にこっちを向いたのって……)｣

バリッとポテチを頬張りながら口角を上げた

乱｢矢っ張り､面白い子だな……｣

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