第××話『番人ト探偵社“壱”』 ページ42
太宰がポートマフィアを抜け
二年が経ったある日の昼下がり
『……痛い』
白い外套で素肌を隠し街を歩く芥川
先日、異国の敵にやられた傷がまだ痛むのだ
『……如何したら強くなれるのだろうか』
重い足取りで目的のパン屋まで歩く
傷の手当などしていないため、芥川の紺色のワンピースにジワリと血が滲む
「アンタ、大丈夫かい?」
ふとそんな声が聞こえた
自分ではないだろうと気にせず歩く、が
「白い外套のアンタだよ」
外見をハッキリ云われた
おまけに肩を掴まれ、芥川は『……何?』と問うた
「腹の血、如何見ても重症じゃないか」
『あなたには関係ない』
そう云い相手の顔を見て驚いた。あの与謝野晶子が心配そうに芥川を見つめていたのだ
『……やつが……私の事は放っておいて下さい。失礼します』
まだ指名手配犯となっていないが顔を見られると何かと拙い。逃げるように足を進めるが今度は腕を掴まれてしまう
『……うっ!』
しかしそこは怪我をしていたところ
思わず与謝野の手を払い除けた
与「……腕も怪我しているのか。妾の処に来て手当するよ」
『み、見ず知らずの人を招き入れるのは』
与「アンタ家出か、なにかだろ?」
『……え?』
与「それか暴力を振るわれたか何かか……」
変な誤解が生まれている
しかしこれは好都合なのでは?
与「少しでいいから来ないかい?」
『そ、それは……』
与「大丈夫さ。妾は武装探偵社の一員だからねえ」
笑いながら芥川の手を握り優しく引っ張り歩き出す
与「怪しいもんじゃないよ」
『……そう、ですか』
不安そうな顔の芥川の頭を撫でる与謝野
彼女はビクッと肩を揺らした
与「怖がらなくていい。それにしても一体如何したらこんな重症になるんだい?」
『(異国の異能者を始末する際、相手の攻撃が当たってしまった。なんて云えん)』
俯いて『その……』と言葉を濁す
与謝野は聞いてはいけない事だと思ったのか話題を変えた
与「最近、港の方で大量の殺人があったらしいから気を付けな」
『(済みません。その犯人、僕です)』
という言葉を呑み込み、弱々しく『はい』と呟く
与「まあ、殺られたのは違法で入って来た異国の異能者。だから大丈夫だと思うんだけどねえ……」
『(ヨコハマの街を穢すものは誰であろうと赦さないからな)』
与謝野は優しく芥川を引っ張りながら探偵社を目指した
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第××話『番人ト探偵社“弐”』→←第八十一話『答エハ変ワラズ』
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らしろ(プロフ) - シアトルさん» 優しいと思えば、意外と裏切られる芥川ちゃんでした(笑) (2018年9月7日 17時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 太宰さんは相変わらずクソであった…でめたし、でめたし…? (2018年9月7日 0時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 埴輪型竹輪さん» そのまさか……かも?しれないです(笑)ご期待ください! (2018年9月3日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
埴輪型竹輪(プロフ) - え......まさかあの方と関係が...! (2018年9月3日 22時) (レス) id: 4f1c00f9fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 鈴さん» まさか……!です(笑)、次にご期待ください! (2018年9月3日 21時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2018年7月3日 21時