第七十五話『衝突ノ直前ニ』 ページ35
鏡花の乗っている無人機を白鯨に衝突させれば海に墜落させられる
そう説明して感嘆の声を上げる敦
確かにそれだと街は助かる……だが
敦「鏡花ちゃん、君も早く脱出するんだ」
‹ 鏡「無理」 ›
敦「……え?」
‹ 鏡「私は虜囚。足首が鎖で繋がれているから脱出装置のある部屋まで行けない」 ›
敦「そんな……じゃあ……」
‹ 鏡「私のことは諦めて」 ›
駄目だと声を荒らげる敦。しかし鏡花の意思は強い
鏡「これまで私には一片の光も無かった。でも今日判った、私にも選択肢はあると」
自分の命を犠牲にし皆を救う。然すれば入社試験に合格できる
‹ 鏡「なら何も惜しくはない」 ›
敦「止めるんだ!!」
メ「突っ込んでくる!行くぞ!」
窓から見えるのは巨大な飛行機
『鏡花、頼んだぞ!!』
敦「なっ、何云って……!?」
歯を食いしばり敦の背中から下りて羅生門で彼をぐるぐる巻きにして引っ張る
敦「はっ放せ!鏡花ちゃん聞いてくれ!!」
‹ 鏡「ありがとう……ごめんなさい」 ›
再び、轟音が響く
白鯨から脱出できた
海から落ちてゆく白鯨と無人機を静かに見つめる
敦が彼女を呼ぶ声が陽の傾いた空に吸い込まれていった
━━━━
━
港に着き、重たい身体を休ませる
敦はメルヴィルに支えられながらぐったりとしていた
敦「そんな……如何して彼女が……如何して……」
『……鏡花』
何か台詞があった気がする
しかし唯、海を見つめていたかった
?「これで善かったのだよ、敦君」
声のする方へ目を向けると太宰が立っていた
太「鏡花ちゃんは自分に克ち街を救った。探偵社に相応しい高潔さでね
彼女は望みを叶えたんだ」
敦「でも……でも!彼女が死ななくちゃならない理由なんて何処にも……!」
……ああそうだ。そうしなくてはならない理由があったのだ
『思い出した』
その声に敦は芥川を見る
太宰はにこりと笑って後ろから歩いてくる影を見る
『……福沢殿の異能だ』
太「そう。社長の異能───“人上人不造”は自分の部下。つまり探偵社員にのみ発動する」
効果は異能の出力調整、制御可能の制御能力
敦が虎の異能を操れるようになったのも社に入ってから
つまり……
『鏡花は衝突の直前に入社試験に合格した』
敦は勢いよく振り向く
彼の数
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らしろ(プロフ) - シアトルさん» 優しいと思えば、意外と裏切られる芥川ちゃんでした(笑) (2018年9月7日 17時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 太宰さんは相変わらずクソであった…でめたし、でめたし…? (2018年9月7日 0時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 埴輪型竹輪さん» そのまさか……かも?しれないです(笑)ご期待ください! (2018年9月3日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
埴輪型竹輪(プロフ) - え......まさかあの方と関係が...! (2018年9月3日 22時) (レス) id: 4f1c00f9fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - 鈴さん» まさか……!です(笑)、次にご期待ください! (2018年9月3日 21時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2018年7月3日 21時