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第二十四話【スーツの青年】 ページ25

事務所より離れた位置の裏路地。
そこに子供達とおじさんと織田さんと私は待機していた。




「……電話一本で呼び出されてみれば」




そこへ疲れ果てたスーツ姿の青年が歩いて来た。
その声に織田さんは目を丸くしていた。




「……安吾?」



『あれま、知り合い?』




これはこれは驚いた。
内務省異能特務課の坂口さんとポートマフィア構成員の織田さんがまさかの知り合いだとは。




「……ご用件は?」




坂口さんは織田さんに軽く(気まずそうに)会釈をして私に向き直る。




『あの時の“借り”……覚えてますよね』



「……えぇ、まぁ」



『その借りを今、返して欲しくて』



「こちらも忙しいので大したことは出来ませんが」




坂口さんの顔が曇る。
そして彼の視線は私と織田さんの後ろにいる子供達に向けられる。




「その子達を匿って欲しい……ですか?」



『ピンポーン!正解!』



「……理由は大体判ります。ですが」



『……ですが?』



「……いえ、いいでしょう。あの時の借りですから。
そしてその子達は織田作さんの大切な子供達ですから。」



「ありがとう、安吾」




織田さんは頭を下げる。
私も織田さんに習って頭を下げた。
すると後ろの子供達やおじさんまで頭を下げたらしい。




「や、やめてください……元はといえばこれは……こうなってしまったのは」



『ほほぅ、何やら訳ありですな?その件、武装探偵社にお任せしてもいいんですよ〜?』




ニマニマと笑って云えば坂口さんは眉を顰めて顔を歪ませる。




「……これは政府とポートマフィアがなんとかしますので、大丈夫です」




『……ポートマフィアも一枚噛んでいるのか。
そういえば織田さん、あの事務所は誰が用意したものですか』




そう聞けば太宰君が用意したものだと判った。
錆のまわっている事務所を敵が特定し、奇襲を仕掛けるなど早すぎる。
事が上手く行きすぎている。




『……太宰君が織田さんの大切な方を敵にリークすることは有り得ない』




ぼそりと呟くと坂口さんの表情が変わった。


異能特務課とポートマフィア

ポートマフィアと敵───ミミック

ミミックと……




『……織田さん』



「如何した?」



『最近、敵に何か宣戦布告みたいなこと受けました?』




すると織田さんは少し考えた後に何かを思い出した。




「云われた。敵の長から“乃公(おれ)を理解させてやる”と」




それを聞いた私は口角を上げた。


.

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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時

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