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第十一話【重なる姿】 ページ12

着物を着た女性は私の前まで歩いて来てニコリと笑う




「私は尾崎紅葉。此処の幹部をしておる」




『私は中里A。武装探偵社のアルバイトをしています』





頭を下げて彼女を見る
随分と端正な顔立ちだ。マフィアには綺麗な人がいるもんだなぁと呑気に考えていると尾崎さんは申し訳なさそうに眉を下げた





「済まんが、首領に簡単に逢わせるわけにはいかなくてのう。悪いことは云わん、帰った方が主の為じゃ」




『ご忠告感謝します。しかし、首領に逢わなければ織田さんの依頼を完了出来ませんので。ご了承ください』




「如何にも首領が太宰の行方を知っていると云わんばかりの言葉じゃな」




『ふふっ、まったくもってその通りです』




「でもな首領も太宰の行方を知らねェんだ。首領の処に行ったって何も」




『真実を知りたければ私を首領の処へ連れて行ってください』





お願いします、と丁寧に頭を下げる
しかし敵対組織の者をマフィア首領に逢わせるなんて無理な話だ
そう思い諦めようとした時だ。優しく温かい手が私の頭に乗った





「……それで太宰の行方が判るんだな?」





織田さんの手だった。柔らかい笑顔で私の顔を覗き込み優しい口調で話す姿は一瞬だけお父さんと重なった





『……はい、必ず判ります。嘘は吐きません。なんてったって私は武装探偵社の期待を背負う新星ですから!』





胸を張ってニッコリと笑う
本当に嘘じゃない、優しい織田さんの為にも依頼は解決しておきたい





『織田さん、案内お願いします』




「判った、任せろ」




「任せろって……手前ッ!」




「……ならば私も行こう。鴎外殿に何かあったら直ぐに主を斬れるようにのう」





その言葉に中原君の顔が引き攣った
私は逢わせてくれるんだと内心ホッとした





『……行きましょう』




「ああ、こっちだ」





なんの躊躇いもなく歩き出す織田さんについて行く
その後ろには中原君と尾崎さん

周りの黒服からは凄い視線感じる





『あーあ、でも厭だなぁ』




「何がだ?」




『それは首領さんの部屋に着いたら厭でも判りますけど……何かあったら織田さん、庇ってくださいね』




「ああ、判った」





平然と返事をしているが本当にこの人は判っているのだろうか?なんか織田さんって少し天然が入ってる気がする





昇降機(エレベーター)を乗り継ぎ、ぐんぐんと上がっていく


私は面倒くさくて一つ欠伸をした



.

第十二話【昔みたいに】→←第十話【職場はポートマフィア】



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らしろ(プロフ) - 有栖川.さん» コメントありがとうございます。可愛いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります、引き続きお楽しみ下さい! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川.(プロフ) - 織田作、、可愛い…。更新頑張ってください!! (2020年5月26日 19時) (レス) id: 365395094b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月21日 18時

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