漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです1【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ7)

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第六話『貴方ヲ殺セナイ』ページ7

矢張り太宰が隙を許してくれる筈もなく

太｢あーあ､派手にやってくれてるねえ……私が君に隙を与えると思ったかい｣

『思わない』

マフィア本部の一階ロビーがめちゃくちゃになる
黒服達が銃を持ち太宰の指示を待つが彼は何も云わない

この騒ぎに駆けつけた､中原中也や尾崎紅葉達までもが唖然として目の前の光景を見つめていた

『私は貴方を殺せない』

太｢そうだね､君は私を殺せない｣

尚も羅生門は暴れ続ける
壁や柱などを抉って､破壊して

その一つ､大きな柱が太宰の頭上に降ってくる

中｢太宰ッ！｣

中也が気付くが相当な距離がある為､間に合わない

太｢……｣

太宰は何も云わずに彼女だけを見つめている
その瞳は黒く､闇が広がって……でもそのもっと奥には───

『矢っ張り､貴方は脆いですね……』

太宰の頭上から降ってきた柱を羅生門が粉々に破壊した破片が降り注ぐ

彼女は体制を低くし､銀を守るようにして羅生門の傘を作る

太｢破片が降ってきて地味に痛い……また死ねなかった｣

『云ったでしょう？私は貴方を殺せない､と』

ジャキッと音がして彼女に向かって銃口を向ける黒服達｡太宰は彼女に近付いてしゃがみ､頭を撫でた｡
頭上にあった羅生門が消えてゆく

太｢私の元へ来れば妹を守れる､必ずね｣

『妹を暗殺者として育てようと云った貴方を誰が信じるんです？』

銀｢私も強くなりたい｣

『強くなることと暗殺者になることは違うのよ』

ムニーっと銀のほっぺをつまむ

銀｢いっ､いひゃい…｣

『暗殺者になったらね､これよりもっと痛いことがあるの』

銀｢判ってる……でも､なる｣

真っ直ぐな瞳は彼女を捉えていて揺るぎなかった
何でそこまでして…

太｢銀ちゃんは優しいね……姉の為ならば自分の手を汚そうと考えている｣

『銀､それでも私は』

銀｢私はもう決めたの！｣

私の元から離れ太宰の後ろへ隠れる
───何故？

銀｢今度は私がお姉ちゃんを守るの！｣

太｢銀ちゃんなら強くなれるさ｣

『嫌……私は貴女が殺しをやっているところなんて
見たくないッ』

滲む景色の中､銀を見つめる
銀は頭を横に振るだけ

手を伸ばすが､何故か銀が遠くにいるように思えた
すぐ目の前にいるのに

太｢賢い君なら判るだろう｣

彼女の伸ばした手を太宰が握る

太｢私から逃げられないってね｣

この男……何時かぶん殴るッ

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