4回目のすき ページ21
お昼休みに購買に行って教室に向かおうとした矢先
正面の奥から"里見くーん"と声を出して向かってくる女子が数人いた
あ〜、あの子達に捕まると厄介なんだよな
捕まる前に逃げるしかないという思考に陥り見なかった、聞こえてない振りして、元来た道を戻ろうとするとAが1人で廊下を歩いているのを見かけた
「先輩こんに、!」
「急で悪いけど、少しの間俺に付き合ってくんない?」
そう言って答えも聞かずに彼女の腕を掴んで連れ出した
丁度空き教室があった為急いで入って、Aの頭と腰を自分に寄せて向こう側から自分の顔が見えないように彼女の頭に顔を寄せる
途中、俺を呼ぶ声が聴こえたので彼女の耳に自分の口を近づけてそっと囁く
「俺の背中に腕を回して…」
耳元で囁かれてくすぐったかったのか体がぴくりと動いていた
おそるおそるという感じで腕が俺の背中に回ってきた、と同時に廊下からさっきの女の子だろう数人が走ってくる音と声が徐々に聞こえてくる
「ねぇ、里見くんは!?」
「こっちに来てたよね?」
「ここの教室は?」
ガラッとドアが空いたがすぐ閉めて出ていった
案の定さっきの女の子達だ
廊下から聞こえてきた声に安堵
「どっかのカップルがいちゃいちゃしてるだけだったわ」
「えーどこいったのぉ」
さっきの女の子達はどこかに遠ざかってく
思わずため息が溢れる
「…やっと行ってくれた」
正直彼女を連れ込んだのは女の子達を撒きたかったという理由だけなのだが、好きな女子を抱きしめることが出来てこんな嬉しいことは無い
離れたくないし離したくない
それでもずっとくっついている訳には行かない為
名残惜しいが、そっと離れる
「ごめんね、巻き込んじゃって
ちょっとしつこく追われちゃって」
「い、ぇ…」
突然の事でこの状況に追い付いてないのか首を横に振って返事をくれた
「たまたまAがいて良かった
こういう対処法できる人他にいないし
本当に助かったよ。ありがとな」
たまたまなんて言ってるけどこんなことAにしかしないからね
お礼を言って彼女の頭を撫でてすぐ離した
もっと触れていたい
ずっと抱きしめていたい
一瞬幻想に浸っているとやっと落ち着いたのかAから声を掛けられた
「あの!先輩、私…」
途中で言葉が止まるのでどうしたのか聞いて
彼女の伝えたい言葉を彼女のタイミングで言えるように待ってみる
俺も伝えたい事ある、けど
彼女が口を開こうとすると同時に教室のドアが思いっきり開いて2人でそちらを見た
217人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:百舌 | 作成日時:2019年3月26日 1時