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涼介「だからAも唇噛まずに
ちゃんと聞かせて?」
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涼介に指摘された癖。
無意識で噛んでいたものを慌ててやめる。
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「涼介は…」
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本当は今すぐ“好き”って言いたい。
まだ涼介にちゃんと伝えられてない
私の気持ち。
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「…っ、涼介は何でそんなに私がいいの…?」
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だけど、いくら“好き”とはいえ、今まで散々裏切ってきて、
ずっと涼介の気持ちに応えられなくて。
しかも、いつの間にか自分の子じゃない子どもを身籠っている相手なんて
いやに決まってる。
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涼介「え?んん、何でってなぁ…」
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けれど、涼介にとってそれは、
可笑しくて仕方のない質問だったらしく。
丸い瞳をキュッと細め、笑みを含んだ唇で
ポツリと口を開いた。
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涼介「…俺、Aがいない間、後輩に告白されたの。」
「…え?」
「料理上手で甘え上手。女の子らしくて可愛い子だった。」
「そ、そう…」
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涼介の声色が、先ほどまでのものと
明らかに変わる。
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涼介のモテ自慢話は昔から聞いていたけれど
あのときのようには軽く聞き流せなくて。
平然を装って返事をするけど
胸がズキズキして痛い。
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「比べてAってさ、全く料理できないよね。」
「…っ。」
涼介「それに素直じゃないし、ネガティブだし、不器用過ぎるし。
あえて言うなら頭が良すぎるとこだけ。」
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何の反論もできない。
平気。全然平気。
泣いちゃだめ。唇も噛むな。
そんな資格、私にはない…
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涼介「だけど…」
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そんなとき、ポツリと零れ落ちたのは、
今にも消え入りそうな小さな呟きだった。
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涼介「だけどさ、そういう女の子より
欠点も全部含めてAのことが好きなんだわ。」
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愛(プロフ) - おはようございます♪何回見ても泣けるお話です(泣)続編見たいです★楽しみにしてます(•‿•) (6月17日 7時) (レス) @page49 id: 170da3309e (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - ぱんださん» お返事遅くなりすぎて申し訳ございません…!何度も読み返してくださりありがとうございます。作った者としてこれ以上無い褒め言葉です。マイペース更新になりますがよろしくお願いいたします。 (5月27日 22時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ(プロフ) - 私はこの作品のファンとして毎度更新を楽しみにしていました。終盤は涙が止まらなくなることも多く、気づけばこの作品にのめり込み、何度も読み返しています。そして何度読んでも毎度号泣しています。今作も楽しく拝読しています。これからも陰ながら応援しています。 (2023年2月5日 7時) (レス) id: 399b55da19 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - るん。さん» 嬉しいコメントありがとうございます!楽しんでいただけて嬉しいです。ちょうど今新作公開したので、お時間あればお越しください。 (2022年12月31日 18時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
るん。 - 本当に本当に本当にお疲れ様でした。最初から最後までとても楽しく読ませて頂きました。小説の本を読んでるかのように読みやすく感情移入しやすかったです。1番好きな小説です!また新作できた際には拝見させていただきます! (2022年12月18日 11時) (レス) @page49 id: fde368863d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2022年10月8日 0時