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***
涼介「全部聞いた。」
「…っ。」
.
何の前触れもなしに
突然本題に切り出される。
出来上がった焼きそばをお皿に盛り付ける涼介は
こちらを見ないまま言葉を続けた。
.
涼介「Aは悪くない。」
「……」
.
涼介「大ちゃんにはもう会うな。」
「うん…」
涼介「自分を責めるな。」
「…うん。」
.
涼介「Aは精一杯やったと思う。」
「…っ、うん。」
涼介「よく頑張ったな。」
「…っ。」
.
頭をポンっとされて
今まで我慢してた分の涙が零れる。
.
おかしいな。
昨日、嫌って程泣いたのに
何でまた出てくるんだろう。
.
涼介「こーら、泣いたらまた目腫れるぞ。」
「…っ。」
涼介「とりあえずそれ食って腹見たせ。」
「うん…っ。」
.
わしゃわしゃと乱暴に頭を撫でられて
余計に涙が出る。
.
涼介は、本当にやさしかった。
ずっと笑っていた。
だから気づかなかったんだ。
涼介と大貴が本当は、何を話したか。
涼介が、いったい何を隠しているのか。
.
「あれ、そういえばスマホどこだろ…」
涼介「あ?何か言った?」
「う、ううん。」
.
スタジオに忘れちゃったのかな。
明日、みんなが来る前に取りに行かないと…
.
「いただきます。」
涼介「ん、どうぞ。」
.
もう二度と、大貴と会うことはないと思っていた。
関わることはないと思っていた。
思っていた、のに…
.
大貴「そう、それで合ってるよ。」
.
運命の女神様というのは、とても意地悪で
私を嫌っているようで。
.
私はまた…ううん。
それ以上に。
今後、大貴と過ごす時間が増えていく事になるなんて
思いもしなかった。
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2020年2月22日 22時
