06 ページ6
．
集会が終わり、ぞろぞろと仲間たちが解散して行っても、万次郎はその場を動けなかった。
視線はいつまでも少女の消えていった方角を見つめており、あの場地ですら「変なもん食ったんじゃねーの」と心配してる。生憎彼が食べたのはたい焼きだけである。
……すると、見るからに『心配オーラ』が出ている万次郎の思いが届いたのか、ガサガサと林の方から音がする。
それはまさしく、ドラケンに「そろそろ帰るぞ」と言われて林に背を向けたタイミングだった。
慌てて万次郎が振り向けば、そこには丈夫そうな一本の木の棒を持った少女の姿。すぐに彼女がソレを取りに行っていたことが分かり、肩にかけた特攻服を翻して少女に歩み寄る。
「どこ行ってたの、オマエ」
「……」
心配したじゃん、という言葉を飲み込んでそう聞けば、少女は徐に持っていた木の棒で地面を削り始めた。
これには幹部という位置付けにいる他四人の男達も気になり、全員ゾロゾロと少女と万次郎の周りに集まってくる。地面には【ごめんなさい】とだけ書かれていた。
「ごめんなさいって何」
「……」
「それで良いから、教えて」
少女の持つ木の棒を指さして、万次郎は微笑む。
それにキュッと唇を噛み締めた少女は、それでも堪えきれなかった涙を流しながら、ポタポタと水玉模様ができ始めた地面をガリガリと削った。
また何か言おうとしていた場地の口はそれよりも早く三ツ谷が押さえ込んでいた。再放送をさせてやるつもりはない。
場地も大人しくなったところで、全員で少女の足元を覗き込む。
ゃ
べ
れ
な
く
て
ご
め
ん
な
さ
い
「……オマエ、喋れないんだ」
それは、これまでの疑問が一気に解消された瞬間だった。
あの脳みそがミジンコなパーちんですら理解できたのだから、その場の全員が理解できたに違いない。ゴシゴシと腕で目元を拭った少女は、更に木の棒を動かす。
ぎ
は
し
ん
じ
ゃ
う
前の文との繋がりはない。だが一番最初に少女を見つけた万次郎は察した。
恐らくこの少女は、自分を傷つける環境から、その小さな手足で逃げてきたのだと。それがバレてしまえば、今度こそ殺されると。
これにはちゃんとした公共機関へ連れて行け一択だったドラケンも顔を歪ませた。
捨てられたのではなく“逃げてきた”のなら、暴力を振るっているであろう親が嫌でもでしゃばってくるはず。
それは彼にとっても本意ではなかった。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2702人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レモン - サイコーすぎんだろ‼️ 応援してます😆 (2022年7月2日 13時) (
レス) @page50 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ぺたごんさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行するつもりなので、続編もよろしくお願いします！ (2021年11月13日 8時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ぺたごん - すごくすき愛した だぁじに悶えてます 続編待ってます！ (2021年11月13日 1時) (レス) @page50 id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ただのバカですさん» そうです三ツ谷くんです（笑）多分本文でも書くと思うんですけど、みつや→みつゃ→みちゃ 的な流れから、みちゃになりました。続きものんびり頑張ります！ (2021年10月23日 0時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - みちゃ？あっ、三ツ谷くんの事ね。え！？可愛くねぇ？みちゃだよ？胸取れるわ。ムフフ続き楽しみに待ってます。 (2021年10月21日 7時) (レス) @page45 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
