44 〈友達の話〉 ページ44
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＿＿＿＿＿＿物心がついた頃には既に、Aの周りには同年代の子どもが居なかった。
その理由は無論、あの劣悪な家庭環境にある。
外出もマトモにさせてもらえない、保育園にも行かせてもらえない、家にやってくるのは怪しげな借金取りで、唯一の外とのつながりはつけっぱなしにされたテレビのみ。
Aの間違ったひらがなやごく少数の漢字は、全てそこから得た知識だった。
それらの事実にうっすらと万次郎が気づいたのは、Aが佐野家にやって来て早半年が経とうをしていた頃のことだった。
近所に住む同年代の子どもに話しかけられた際、Aが今までに見ないほどフリーズしたのだ。
その姿はまるで「どう接したらいいのか分からない」とでも言いたげで、終始万次郎を見上げて固まっていた。
おまけにAの顔が今にも泣きそうだったものだから、「同年代の友達を作ってあげよう」と意気込んで相手の子どもを連れてきた万次郎も、その日はAを抱いてスタコラさっさと退散してしまった。
これはまずいとして、万次郎はすぐにある人物に電話をかけた。
それは東卍内で唯一二人の妹を持つ男であった。
《……つまりルナとマナで耐性をつけさせたいってことだな？》
終始色々とお願いをしたが、つまりはそういうことである。
今はまだ学校には行っていないが、この日本という国に住んでいる以上、いずれはAも学校という公共機関に通わなければならない。
それなのに同年代の子どもとの会話もままならなければ、今以上に苦労することになるだろう。
なるべくAに苦しい思いをさせたくない万次郎は、素直に周囲を頼ることにした。
「そーゆうことになんのかなぁ。……頼めるか？三ツ谷」
《……ははっ、うちの妹達をナメてもらったら困るぜ、総長。んなのお安い御用だよ》
続けて電話の奥から「ルナ！マナ！明日新しい友達連れてくっけど仲良くできるかー？」と言う声と、それに対する「できるー！」という元気な返事が聞こえて、万次郎は心から安心した。
＿＿＿そして翌日。
万次郎に手を引かれて待ち合わせ場所の公園についたAは、園内で駆け回る二人の少女の姿を見て、ピタリと足をとめた。
分からないものは怖い。
人間なら誰しもが持っている恐怖心が、Aの足を止めていた。
「よっ、A。この前の集会ぶりだな。元気にしてたか？」
「……みちゃ」
「おう、みちゃだぞ」
唯一の救いは、そこに三ツ谷の姿があったことだろうか。
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レモン - サイコーすぎんだろ‼️ 応援してます😆 (2022年7月2日 13時) (
レス) @page50 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ぺたごんさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行するつもりなので、続編もよろしくお願いします！ (2021年11月13日 8時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ぺたごん - すごくすき愛した だぁじに悶えてます 続編待ってます！ (2021年11月13日 1時) (レス) @page50 id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ただのバカですさん» そうです三ツ谷くんです（笑）多分本文でも書くと思うんですけど、みつや→みつゃ→みちゃ 的な流れから、みちゃになりました。続きものんびり頑張ります！ (2021年10月23日 0時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - みちゃ？あっ、三ツ谷くんの事ね。え！？可愛くねぇ？みちゃだよ？胸取れるわ。ムフフ続き楽しみに待ってます。 (2021年10月21日 7時) (レス) @page45 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
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