23 ページ23
．
「……でもな、アイツは相当、オマエのこと大切に思ってんぞ」
「……」
「つか、悪い子は要らねぇっつってたけどよ、したらオレらはどうなんだって話な。端から見りゃ、オレらなんて毎日喧嘩三昧で授業もまともに受けてねぇような不良集団だぜ。それに比べたら、オマエの“悪い子”なんて可愛いもんだろ」
ドラケンの手がわしゃわしゃと自分よりも下にある頭を雑に撫で回す。
それは暗に考えすぎだと励ましてくれているようで、言っている意味はよく分からなかったが、自然とAの肩の力が抜けた。
グリグリとドラケンの掌に頭を押し付けてくる様は、もっと撫でてと強請る子猫のよう。この場に万次郎が居れば即刻写真会と駄々こね会が始まったに違いない。
原因：嫉妬。
「噂をすりゃ、マイキーのやつ、建物の前まで来てるってよ。どうする？」
あくまで決定権はA。
Aが嫌がるようなら今日一日はこの部屋に泊めることも視野に入れていた。壁を一枚隔てたBGMがあまり良ろしくないが、一日くらいどうってことないだろう。
最悪ヘッドホンも耳栓もあるので、ちっこい子ども一人が泊まる分には恐らく問題ない。
しかしAはドラケンの服を掴んでコクリと頷いた。Aにとっても、万次郎は特別な存在だった。一緒にいることが許されるなら、一緒に居たい。
意図を汲み取ったドラケンがAを抱き上げる。
もう夜も遅い。Aの意識はうつらうつらとしていた。
「A……！」
「おらA、迎えだぞ」
「ん……」
ぽあぽあとした頭で万次郎の方へと腕を伸ばすA。察したドラケンが「落とすなよ」と言いながらAの体を万次郎に引き渡せば、すかさず小さな体が抱きしめられた。
それだけ彼は不安で仕方なかったのだ。一度大切な人が帰らぬ人となってからは、特に。誰かが居なくなってしまうことに酷く敏感になってしまった。
「勝手に出てくなよ……バカA……」
呑気に船を漕いでいるAと今にも泣きそうな万次郎を見て、ドラケンは肩を竦める。そして大きな両手を伸ばし、二人分の頭をかき混ぜた。
こうして見ると、二人は兄妹と言われてもなんら不思議ではなかった。
「マイキー」
「なに、ケンチン」
去り際、甚平を着込んだ小さな背中をドラケンが呼び止める。
すっかり眠っているAを抱えた万次郎が振り返ると、真剣な眼差しで、彼は口を開いた。
「……子守くらいは出来る。いつでも頼れ」
ドラケンの言葉に、万次郎は笑った。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2702人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レモン - サイコーすぎんだろ‼️ 応援してます😆 (2022年7月2日 13時) (
レス) @page50 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ぺたごんさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行するつもりなので、続編もよろしくお願いします！ (2021年11月13日 8時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ぺたごん - すごくすき愛した だぁじに悶えてます 続編待ってます！ (2021年11月13日 1時) (レス) @page50 id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ただのバカですさん» そうです三ツ谷くんです（笑）多分本文でも書くと思うんですけど、みつや→みつゃ→みちゃ 的な流れから、みちゃになりました。続きものんびり頑張ります！ (2021年10月23日 0時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - みちゃ？あっ、三ツ谷くんの事ね。え！？可愛くねぇ？みちゃだよ？胸取れるわ。ムフフ続き楽しみに待ってます。 (2021年10月21日 7時) (レス) @page45 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
