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「あれ、エマじゃん。なにしてんの」
「……見れば分かるでしょ。あの子のご飯作ってんの」
Aを部屋に行かせてキッチンにやって来た万次郎は、そこに立っている後ろ姿に目を見開いた。冷戦中のエマだった。てっきりもう部屋に引きこもっているものだとばかり。
驚く万次郎を他所に、エマはテキパキと少女の分の夕飯も作り終わり、エプロンを畳む。「別に認めたわけじゃないから」そう言って兄の横を素通りし、部屋を出て行った。
いくら喧嘩をしていても優しい妹の姿に兄の頬は緩む。万次郎が自分の夕飯を半分こにすることを察して、気を遣ってくれたのだ。
有り難く二人分の夕飯を手に取り、Aの待つ自室へと急ぐ。
「A？」
部屋に戻るとAは万次郎に渡されたタオルケットに包まって眠っていた。
それもベッドではなく、わざわざテレビ台と壁に挟まれた僅かな隙間に、小さな体を更に小さく折り畳んで。
持ってきた夕飯を机に並べ、丸まったままスヤスヤと寝息を立てるAに近づく。万次郎がツンツンと頬をつついても起きる気配はない。
今までマトモに眠れる環境ではなかったのだろう。にしたってもう少しマシな場所で寝ろよとは思う。
Aをベッドに寝かせてから万次郎は先に夕食を済ませる。折角あったかいのに冷ますのは勿体無いと思うからだ。
どうせならAにもあったかいうちに食べさせたかったが、あまりにも気持ちよさそうに眠っているので、それも憚られた。
「……どうしよっかなー」
Aの前ではなるべく吐かないようにしていた弱音が、ついポロリと口をついた。
暫くするとAが目を覚ました。
時刻は23時に差し掛かろうとしており、健康体かつ普段は食ったらすぐ寝るところを意地で起きていたので、万次郎の目は今にも寝そうである。
「おきたぁ？ごはんくえるー？」
のそのそと立ち上がった万次郎に抱き上げられ、足の間に座らされるA。
すぐに目を覚さなければ痛い目を見る環境だったため、寝起きは良い。パチパチと目を瞬いて、Aは恐る恐る用意されたスプーンでご飯に手をつけた。
その姿を見届けた万次郎の意識は一瞬で飛んだ。
背後にあるソファーに背を預けてぐかーと寝入る。
彼にしては良くぞここまでもったものだ。総長の習性を知っているドラケンがこの様子を見ていたならば、間違いなく自らの頬を引っ叩いていたに違いない。あ、夢じゃねぇ。
「……」
おいしい。
声にはならない思いが溶けていった。
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レモン - サイコーすぎんだろ‼️ 応援してます😆 (2022年7月2日 13時) (
レス) @page50 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ぺたごんさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行するつもりなので、続編もよろしくお願いします！ (2021年11月13日 8時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ぺたごん - すごくすき愛した だぁじに悶えてます 続編待ってます！ (2021年11月13日 1時) (レス) @page50 id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ただのバカですさん» そうです三ツ谷くんです（笑）多分本文でも書くと思うんですけど、みつや→みつゃ→みちゃ 的な流れから、みちゃになりました。続きものんびり頑張ります！ (2021年10月23日 0時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - みちゃ？あっ、三ツ谷くんの事ね。え！？可愛くねぇ？みちゃだよ？胸取れるわ。ムフフ続き楽しみに待ってます。 (2021年10月21日 7時) (レス) @page45 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
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