【pi】ムード壊すなって

ムードクラッシャー！ ページ3

「…あ、あのね、私、紫田くんの事、ずっと前から気になってて…
それでね、私気づいたんだ。…紫田くんのこと、好きに、なっちゃったみたい。」

後から、よかったら受け取ってください！と有栖川さんの気持ちが籠っているだろう、手作りクッキーがショッピに向けられていた。顔を真っ赤にしてかわええな、なんて思いながら私はスクールバックに忍ばせたイチゴロールをばくばくと頬張る。相変わらず美味しいななんて呑気なことを考えていると、隣の席のメガネイケメン風紀委員長こと黒瀬くんが話しかけてきた。

「おい緒方、時と場合考えろ。」
まったく、と呆れた様子で注意された。失敬失敬、なんて謝る仕草を入れながら口いっぱいにパンを詰め込み、行儀悪いゾ！なんて黒瀬くんにまたも注意されながらも飲み込み完食する。席替えする前の席が後ろの方だったから癖で食べてもバレないだろうと思ってましたぬはは。一番前はやっぱりややこいなあと思いつつ、そういえばショッピたちどうなったんだろうとやっと前を向く。
体感時計はかなりの時間が進んでいると思っていたが、実際はそれ程経っていなかったらしい。丁度ショッピが有栖川さんの告白に対して答える時だった。

「あー…俺、他に好きなヤツいるんで。
それにアンタのこと知りませんし、誰っすか？」
…初めてショッピの事が理解できないと思った瞬間だった。好きな人がいるとはいえ、二重ぱっちりの正に女子って子から告白なんてされたらどんな男も落ちるのでは？…まあ人それぞれ考えがあるのだろう、私は口を出さないことにした。
それよりも理解できないことが、有栖川さんを知らないことだ。ショッピにも男友達は何人かいる、多分聞いたことはあるだろうが顔が分からないから知らなったのだろうか？
一人寂しく考察していたら、顔を真っ赤にして今にも泣きそうな有栖川さんが見えた。励ましに行こうか、なんて考えたときショッピから「あ、」となにやら何かを思いだしたような声が聞こえた。

「あ、アンタあの時の人じゃないっすか？購買でデカ辛チーズパン買ってた人っすよね。」
珍しいなーって思ってたんですよね〜と思い出したように話し出すショッピ。この事実にクラスにいた人たちはほぼ唖然としていた。

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