遥かなる我が家−07− ページ20
「腹立つね、六郎の父。うちの優秀な六郎に何言うんだ!って」
バシッとミコトは笑いながら久部の肩を叩く。
久部は照れたように頭をかいて言う。
「出来損ないの息子ですよ」
ミコトは日本酒を久部のお猪口に注ぐ。
「六郎の“ろく”は“ろくでもない”のろく」
ミコトは日本酒を煽って言う。
「ああ……認めさせるか。法医学で。お父さんの仕事は11番の命を救うことでしょ。だったら私達はあのビルで何があったのか、身元不明の10人は一体誰なのか、11番目の男がどう関わっているのか」
「9番は何故縛られて殴られていたのか……それを解明する」
『そうだよ。わたし達はわたし達の仕事をしよう?』
「はい!」
そう言ってお猪口を乾杯した。
「(それにしても……)」
久部は左隣のミコト、右隣のAをチラリと見て思う。
「(両手に華ってこう言う状況なんだなぁ……)」
『六郎なんかにやけてる〜』
「え、いや、な、なんでもないっす!飲みましょう!」
そう言って久部はAのお猪口に日本酒を注いだ。
次の日、UDIラボ。
ホワイトボードにはビルの簡単な店内図が貼られている。
「スナック、麻雀店、占い店、居酒屋店の各店主については、年齢、性別、特徴から遺体を絞り込んで血縁者のDNAと照合して身元が判明しました」
夕子は向島へ説明する。
「それと、4番、7番、10番の胃の内容物が6番の麻雀店の店主と同じものだった」
「つまり、この3人は麻雀店の客だと推測されます」
ミコトの言葉に夕子はホワイトボードの前に立つと6、4、7、10のと番号が振られたマグネットをフリー麻雀東海風荘のスペースへマグネットを移動する。
「例のシャツに付いていた血は?」
「あっ、分析したところ9番の血で間違いなし」
向島の質問に夕子は言いながら検査結果の紙を渡す。
「生存者の11番が9番を殴ってその血を浴びた」
久部はホワイトボードへ追加の記入をしていく。
「9番の身元が分かれば人間関係を洗えるんですけど」
「9番さんの脇腹には完治した内視鏡手術痕がありました。今、UDIのネットワークを通じて全国の医大に問い合わせています」
「了解しました」
ミコトの言葉に向島は手帳にメモをする。
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鞠香(プロフ) - ともみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!頑張ります! (2018年3月19日 19時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - おもしろい!更新楽しみにしてます! (2018年3月19日 2時) (レス) id: f743b881db (このIDを非表示/違反報告)
鞠香(プロフ) - 青龍 葵さん» こんにちは。ドラマの疾走感凄かったですね!完結はもう少し先になりますが、それまでお付き合い頂けると嬉しいです!優しいお言葉ありがとうございました。頑張ります! (2018年3月17日 18時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - あっという間にドラマ終わっちゃいましたが、どのような最後(完結)になるんだろう?中堂さんとの関係は?とか思いながら、まだまだ完結は先かと思いますが無理のない程度で頑張って下さい!更新、楽しみにしてますw (2018年3月17日 4時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鞠香 | 作成日時:2018年3月11日 14時