殺人遊戯−13− ページ13
『おはようございます』
Aは朝早く中堂に呼ばれ、所長室へ入るとドアを閉めた。
ソファーに座る中堂の横にAも腰掛けると、ゆっくり話し出す。
「A、考えたんだが……もう１人法医解剖医がいたら夕希子の事件の犯人に近付けるかもしれない」
『それって……ミコトにも協力してもらうって事ですか？』
「ああ。Aの負担も減るし人手も増える」
中堂がミコトに心を開いてきているのは良い傾向である。Aは自分の幼なじみが認められた嬉しさと、ほんの少しの寂しさを感じた。
その、寂しさは心の奥へ閉まって、にこりと微笑む。
『良いと思います。ミコトは必ず力になってくれるはずです』
「いただきます」
『あ、ミコト出勤してきたみたいですね』
所長室の扉を一枚隔てて向こうからミコトの声が聞こえてきた。
中堂が所長室から出て行くとミコトの方へ近寄って行く。
「おはようございます」
中堂に気付いて挨拶するミコトに黙って近づくと写真を机の上に置いた。
「何だと思う？」
「何ですか？口内炎？……なんか、金魚みたい」
ミコトはハッとして中堂を見上げる。
「８年前の事件の？」
「ああ。糀谷夕希子の遺体の口の中だ」
「次に見たのがその４年後の別の遺体」
写真をもう一枚出す。
「三体目は半年前」
出された全ての写真には赤い金魚が映っていた。
「どれも若い女の遺体で殺しの手口はバラバラ。３人に接点はなく、共通しているのは口の中の赤い金魚だけ。犯人はまだどこかで犯行を続けていると俺は考えてる」
じっくり写真を見つめるミコトに中堂は続けて言う。
「まあ、それで関東圏にでる10代から30代の女の遺体を出来る限り調べてはいるんだが、毎月クソほど遺体が出るお陰で実は手が足りない……協力しろ」
中堂のその言葉にミコトは驚いた表情で中堂を見つめる。
「散々協力させられた。少しは返せ」
変わらず傍若無人な物言いにミコトは鼻で笑うと、返事をした。
「はっ……了解」
ミコトはおにぎりを置くと言った。
「Aは……」
『ミコトおはよう。そう言う事なので、よろしくお願いします』
所長室から出てきたAはペコリと頭を下げる。
ミコトはにっこり笑うとAに抱きついた。
『わっ！』
「うん！何でも協力する！」
『ありがとう……助かるよ』
Aも優しくミコトに微笑み返すのだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1222人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鞠香(プロフ) - ともみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張ります！ (2018年3月19日 19時) (
レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - おもしろい！更新楽しみにしてます！ (2018年3月19日 2時) (レス) id: f743b881db (このIDを非表示/違反報告)
鞠香(プロフ) - 青龍 葵さん» こんにちは。ドラマの疾走感凄かったですね！完結はもう少し先になりますが、それまでお付き合い頂けると嬉しいです！優しいお言葉ありがとうございました。頑張ります！ (2018年3月17日 18時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - あっという間にドラマ終わっちゃいましたが、どのような最後（完結）になるんだろう？中堂さんとの関係は？とか思いながら、まだまだ完結は先かと思いますが無理のない程度で頑張って下さい！更新、楽しみにしてますｗ (2018年3月17日 4時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鞠香 | 作成日時：2018年3月11日 14時
