誰がために働く−07− ページ42
目が合い、何も読み取れないその瞳にミコトは思わず目を逸らすと言った。
「あの、中堂さん」
「なんだ」
「Aとどういう関係なんです？」
「……なんの話だ」
「Aはこの脅迫文が私宛てじゃないって、何か気付いてそうな雰囲気でした。でも、私には何も言わなかった」
「それが何だ」
「あの子は他人の事をペラペラ話す子じゃない。本当は中堂さん宛だと気付いていた。けど、言えなかった」
「さっきから何を言いたい」
「付き合ってるんですか、なんてそんな野暮な事は聞かないし、何かあればAから言ってくれるって信じてます。ただ、Aを傷付けたら許さない。それだけは言っておきます」
「お前は保護者か。バカが」
中堂はそう言うと、今度こそ所長室のドアを思い切り閉めるのだった。
「Aは私の大切な幼なじみなんですよ……中堂さんのバカ」
ミコトの呟きはドアに阻まれて中堂に伝わる事はなかった。
ホルマリン固定した細胞から特定出来たものと状況から推察すると、佐野さんの頚椎動脈の損傷はおよそ30日前のものと断定され、丁度その日にバイクで転んでいた事が判明された。
久部のひらめきでバイクに付いた傷跡から、マンホールが特定され、みんなで佐野さんが転んだであろうマンホールを探すことになった。
その日は花火で、佐野さんは社長のパーティー会場へ幸せの蜂蜜ケーキを届ける際に転んだのだ。もちろん、バイクで行くと伝えていたからそれを立証出来ればこちらが有利になる。
『え、これ久部くんが作ったの？』
携帯のアプリでマンホールの位置が示され、確認したところを押すと済のマークが現れる。
今回調べるには打って付けの物だった。
「はい、市役所からもらったニシムンマンホールの場所をマップに重ねました。だから確認したマンホールのOKを押せば潰していけます」
「や〜る〜じゃん！」
「うちの六郎有能なんです〜」
『六郎凄いよ〜』
「え、(うわー、下の名前で呼ばれた！)」
「あ、秋ちゃん！」
ミコトの声に男の子が近付いてくる。
『あ〜秋ちゃん久しぶりだね』
「久しぶり、Aちゃん」
「あっ、予備校で働いてる弟の秋ちゃん」
「姉がいつもお世話になっています」
「初めまして東海林ですーお噂はかねがね」
「知ってたんですか！？東海林さん」
「あはははー」
以前ミコトから聞いた“秋ちゃん”なる人物を夕子から「元カレ」だと嘘を言われていた久部は驚きを隠せなかった。
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カハラさん(プロフ) - 中堂先生のお話ないかな〜と探していたところ、こちらに辿りつきました。とても楽しいです！そして胸キュンしてます。ステキなお話を作ってくださってありがとうございます。 (2021年2月23日 8時) (
レス) id: 1af5439158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 質問よろしいですか？ (2020年12月26日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞠香 | 作成日時：2018年1月31日 23時
