誰がために働く−03− ページ38
次の日、佐野祐斗さんの解剖が始められようとしていた。
解剖室には一足先に術衣を着た神倉の姿が。
「あっ、似合う〜」
夕子の声に神倉は言い返す。
「ほんとはどこで解剖されるか知られない方が良いんですけどね〜」
そして、解剖が開始される。
「始めます」
ミコトの声が解剖室に響く。
「外表に多数の損傷。毛髪長さ６センチ。」
「はい」
「左側頭部に陥没骨折。耳介からも出血が認められる」
所見を次々言ってくミコトに久部は記録を取り、写真を撮影していく。
「血液からは睡眠薬を含め、薬 物は検出されず」
「了解」
臨床検査技師の夕子の言葉にミコトは返事をした。
その隣の解剖台では中堂と神倉のペアが解剖している。
「神倉さん、もっとしっかり持って」
「血で滑るんですよ、あまり見たくもないし」
嫌々と中堂のアシストをする神倉をAは心配そうに見つめる。
横では着々と解剖が進められる。
「損傷26 左肩の擦り傷５センチ×３センチ」
「はい」
「損傷27 左肘の擦り傷５センチ×3.5センチ。その下にかさぶたになった擦過傷あり」
脚立を見て不安そうに言う神倉。
「のぼるの？」
「登らないとフレームに入らない」
「高いよ！落ちたら危ないし」
「あ〜使えねえ」
「そんな言い方ないでしょう！坂本さんの代わりがいないから仕方なく手伝っているのに」
「もういい。A、変われ」
ホワイトボードに記入していたAは、その言葉にやっぱりか、と思った。
Aは大人しく水性マジックを置くと、神倉からカメラを受け取る。
「あっ、いい？ごめんね」
『いえ、大丈夫です。神倉所長、記録だけお願いします』
「わかりました」
そのやり取りを隣で見ていたミコトは声をかける。
「中堂さん、今だけ臨時ですよ」
「Aを中堂班に入れても構わないぞ」
「Aを手放した覚えはありません。なんで中堂班だけ法医解剖医が２人になるんですか」
「そもそもAはそっちの物じゃない。それに、こっちは１人なんだ。１人くらいいいだろ」
「自業自得で１人なんですよね？」
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カハラさん(プロフ) - 中堂先生のお話ないかな〜と探していたところ、こちらに辿りつきました。とても楽しいです！そして胸キュンしてます。ステキなお話を作ってくださってありがとうございます。 (2021年2月23日 8時) (
レス) id: 1af5439158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 質問よろしいですか？ (2020年12月26日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞠香 | 作成日時：2018年1月31日 23時
