名前のない毒−04− ページ4
それから、高野島さんの自宅、職場、敷島由果さんまで調べに調べ尽くしたが、毒は検出されなかった。
薄暗い室内のソファーで解体新書を読む中堂に、ミコトは椅子ごと近づくと声をかけた。
「中堂さん、急性腎不全の症例に詳しいですか？」
「何故俺に聞く」
「いや……3000件の解剖実績があるので」
「チッ」
中堂は立ち上がると、パソコンに向かうAの元へ歩いて行き、わしゃわしゃと頭を撫でた。
『きゃっ！』
「俺に聞かないで世界に聞け。Aを見習ってな」
そう言って所長室へ入る中堂に、ミコトは声をかける。
「そこ、所長室ですよ！勝手に入っていいんですか」
ミコトの声を無視するかのように、中堂は所長室のドアを閉めるとブラインドを下げた。
「え、あそこに住んでるの？」
『中堂さん四六時中UDIラボにいるもんねぇ〜』
乱れた髪を手櫛で整えながらもパソコンから目を離さないAに、ミコトは近寄る。
「Aは何してるの？」
『このパソコン、世界の論文を見る事が出来る』
「へぇ〜……あ、だから世界に聞けってそういう事？」
『そう言う事かもねぇ』
「お疲れ様です」
その時、久部が室内へ入ってきた。
『おかえりなさい、久部くん』
「おかえり、久部刑事〜聞き込みどうだった？」
「馬のクッキーから毒物出ましたか？」
「ううん、全然」
「やっぱり」
「え？」
「そのクッキー高野島さんがゆかりんに渡したものみたいです」
久部はヘルメットを外し、リュックを下ろしながら、本日の収穫を話し出す。
「ゆかりんが高野島さんとデキてるっていうのも全くのデマで、２人で仕事した後にゆかりんが高野島さんから風邪をうつされたから、イチャイチャしてるからうつるんだーとかほんとに下らない噂みたいです」
Aは久部の話を聞きながら、話題に上がった馬の絵柄のお菓子を手に取ると、ふと裏返してパッケージを見る。
『(これって、アラビア語？……まさか)』
Aは見ていたPCの記事を消すと、
【Scholar Search】論文検索(海外)
というトップページへ戻った。
検索ボックスに【感染】と打ち込み、Middle Eastという項目にチェックをつけて検索を開始する。
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カハラさん(プロフ) - 中堂先生のお話ないかな〜と探していたところ、こちらに辿りつきました。とても楽しいです！そして胸キュンしてます。ステキなお話を作ってくださってありがとうございます。 (2021年2月23日 8時) (
レス) id: 1af5439158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 質問よろしいですか？ (2020年12月26日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞠香 | 作成日時：2018年1月31日 23時
