【名探偵コナン】重なる未来４ (ページ35)

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その177 ページ35

諸「もうひとつ、渡しておきたい物があります。」

他に何を渡したいんだろうと考えていると、頭の上からネックレスをかけられた。

諸「これは私が持っていても意味はない。Aさんが持つことで初めて意味をなすものです。」

かけられた長めのネックレスには指輪が通してある。これはヒロが肌身離さず持っていた私の指輪とペアになっているヒロの指輪。

『ヒロ…』

この指輪をつけたヒロを見てみたかった。きっと、お揃いだねって優しい笑顔で言うんだろうな。

『死せる孔明、生ける仲達を走らす、ですね。ヒロが孔明で私が仲達。少し意味は違いますけど、ヒロは亡くなってからも私に大きな影響を与え続けていますから。』

諸「Aさんは司馬懿仲達ではありません。月英ですよ。」

『月英…すごく賢いけど醜女だって言い伝えられてる孔明の奥さんですよね？』

諸「ええ。しかし月英は、孔明の心を確かめるためにわざと醜女だと伝えていて、実際は聡明で容姿端麗な女性だったという説もあります。(※諸説あります)」

『そうなんですか。』

諸「Aさんも美人な才媛ですから、Aさんは私たち兄弟にとっての月英です。」

『二人とも孔明ですもんね。私は月英ほど賢くはないですけど、どんな時も高明さんを支えていきたいです。』

諸「名前…初めて呼んでくれましたね。」

『これから私も名字は諸伏になるわけですから、いつまでも諸伏警部呼びはできませんよ。』

高明さんは嬉しそうに笑ってくれた。やっぱり名前を呼んでもらえるのは嬉しいよね。

諸「景光にはどこで告白されたんですか？」

『トロピカルランドの観覧車です。とてもきれいな夜景を見ながらだったので、今でも鮮明に覚えています。』

諸「負けましたね。プロポーズがこんな屋上になってしまってすみません。」

『そんな勝ち負けなんてないですよ。ここからもきれいな夜景が見えますし、ここ長野県警本部は高明さんと出会った場所でもありますから。』

諸「Aさんが長野に異動していなかったら出会うこともなかったということですね。」

『そういうことです。私が京都府警のままだったら高明さんには一生会えてなかったと思います。偶然ってこんなにも重なるものなんですね。』

諸「合縁奇縁、人と人との結びつきは不思議な縁の巡り合わせで成り立っているという意味の言葉です。私とAさんも、景光を通して何かの縁で繋がっていたのかもしれませんね。」