【名探偵コナン】重なる未来４ (ページ33)

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その175 ページ33

『確かにそう言った気がします。』

諸「私はその間違いの方ばかりを探していたんですが、ある時そのこと自体が間違っていたと気付きました。」

『どういうことですか？』

諸「正解と間違いが半分ずつなのなら、元はひとつのものだった。つまり、正解と間違いは紙一重だったということです。」

『すみません、ますますわからなくなってきました。』

諸「私は景光の兄であり、顔も多少似ていることは自覚しています。ですから、他にAさんに好意を寄せる輩よりは有利だと思っていました。ですが、それが実は裏目に出ていたことに気が付きました。」

『裏目に…だから紙一重ってことですね。』

諸「そうです。似ているからこそ付き合えない。これに、まだ景光を愛していることと目を合わせてくれないことを加えると、答えは明明白白です。」

すごい、さすがはコウメイ。私が言った一言からここまで考え出すなんて。あの言葉にそこまで深い意味はなかったのにな。

諸「答えを見つけたら私とお付き合いしてくださるという約束でしたね。」

『でも、諸伏警部とヒロが似ているのは顔だけじゃありません。私に優しくしてくれるところも似てます。だから、諸伏警部をヒロと比較したり、ヒロだと思って見てしまう時があるんです。』

諸「それでも構いませんよ。景光をまだ愛してくれていて私としても嬉しいですし、私を見てくれるだけでもいいです。」

『そんなこと、していいわけないです。ヒロはヒロとして思い出の中に置いておきたいんです。諸伏警部に重ねるなんて絶対にしてはいけない。二人は別人なんですから…』

諸「私は別に気にしません。景光を通して、少しずつでも私のことを好きになってくれたらそれで十分です。」

やっぱり、諸伏警部の答えは完全ではなかった。１ヶ所間違っているところがある。

諸「改めて、Aさん、私とお付き合いしていただけますか？」

『…本当に私でいいんですか？ヒロがしてくれたことと同じことを求めてしまうかもしれないです…』

諸「Aさんが望むのなら何でもしますよ。」

『ヒロだと思って無意識に何かしてしまうかもしれないです。病院で手を握ったみたいに…それに、間違ってヒロって呼んじゃうかも…』

諸「景光だと思って何でもしてください。そばにいてくださるだけで嬉しいです。」

『本当ですか？』

諸「ええ、もちろんです。たとえAさんが私を見てくれなくとも、私はAさんを愛しています。」