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その170 ページ28

赤「安室くんが聞いたら喜ぶだろうな。」

そうだった、降谷さんのコードネームはバーボンだったんだ。お酒の名前をコードネームにするなんて、犯罪組織のわりには洒落てる。

『明日は休みだから、羽田浩司の事件調べてみるね。』

赤「ああ、頼んだぞ。」

秀一兄さんの声は低くて優しいイケボでとても落ち着く。ヒロも諸伏警部もみんなイケボだし、声を聞くだけでも十分癒しになっている。

非番と言っても県警の仕事が休みなだけで、公安の方は休みなんてない。

だから送られてくる膨大な資料に目を通すだけで一日が終わった。やっぱりこの仕事量は降谷さんの陰謀?

降谷さんの言っていた通り、仕事は倍以上に増えている。しかし、それと同じくらいお給料も増えている。

公安と県警の両方からの収入があるわけで、通帳の0が一桁増えていた。

県警の給料だけでも十分生活していけるのに、なんだか国民のみなさんに申し訳ない。

県警本部の廊下にある自販機で缶コーヒーを買い、近くのイスに座った。公安の仕事で非番がつぶれて体に疲労が溜まってきている。

コーヒーを飲んでボーッとしていると、誰かが座っている私の前に立った。誰だろうと思い、顔を上げると、それは大和警部だった。

『サボってませんよ。今はれっきとした休憩時間ですから。』

敢「ああ、わかってるよ。」

大和警部は私の隣にドカッと座った。いつものようにサボるなとか言われると思ったのに、何も言ってこないなんてなんか変な感じ。

大和警部から私の所に来るなんて珍しいし、何か注意でもしに来たんだろうか。

敢「…お前、コウメイを振ったらしいな。」

『え、どこでそれを知ったんですか?』

敢「上原が教えてくれたんだよ。上原とコウメイが俺の知らねぇ話してたからよ。」

間接キスの時は大和警部もいたけど、完全に空気になってたからね。そりゃ知らないでしょうね。

敢「それで、何でコウメイを振ったんだ?お前ら仲良かっただろ。」

『大和警部ならわかると思っていたんですけどね。警察官同士で結婚した場合、どちらかが異動させられるからですよ。私も諸伏警部も、もうどこかに異動するのはこりごりですからね。』

敢「なら警察辞めたらいいじゃねぇか。コウメイならお前一人くらい養っていけるだろ。」

『私は警察を辞めたくないんです。』

敢「それが理由じゃねぇだろ。異動したって会えないわけじゃねぇんだし、本当の理由教えろよ。」

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作者名:おひたし | 作成日時:2019年6月16日 20時

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