その134【怪盗キッドの絡繰箱編】 ページ40
『怪盗キッドはただの泥棒じゃなくて、誰かのために泥棒の役を買って出ることもあるんだなって思ってね。キッドのこと見直したんだよ。』
キ「それはありがたい。でも怪盗は華麗で嘘つきなんですよ。いつか貴女の心も奪いに来るかもしれません。」
『それはないかな。私の心はテコでも動かないらしいから。』
コナンくんと沖矢さんの声が聞こえてきた。
キ「おや、探偵が私を探しに来たようだ。それでは、貴女のご厚意に甘えて退散させていただきます。またいつか、どこかでお会いできることを心待ちにしております、美人な刑事さん…」
キッドは煙幕と共に消え去っていった。残されたのは1本のバラの花のみ。
『写真のこと言うの忘れてた…』
コ「あっ、A警部、キッドは?」
『逃げられたよ。逃走用のマニュアルを考えてあったみたいだね。』
コ「くそっ!」
沖「Aさん、そのバラは?」
『キッドの忘れ物です。園子ちゃんにあげよう。』
3人でみんなの元へ戻った。奥さんは絡繰箱を開けて中身の交換日記を大事そうに抱きしめている。
『良かったですね。箱も開けられたし、月長石だけでなく思い出の交換日記も見つかって。』
奥「ええ、この交換日記の価値を見出だせるのはこの世で私だけですものね。そうだわ、この月長石、あなたに差し上げますわ。」
『私に?』
奥「ええ。箱を開ける紙を見つけてくださいましたし、あなたも私と同じ、最愛の人を亡くしていますものね。」
『でもこの月長石は、ご主人が原産地まで行って買った大事なものなのでは?』
奥「確かにそうですけど、私にはこの日記があります。それに、月長石の石言葉は「純粋な愛」。あなたの彼氏さんを想う気持ちはまさに純粋な愛そのものですのでね。」
『…本当にいただいてもよろしいんですか?』
奥「ええ、あなたによくお似合いですわ。」
まさかの超高級な月長石をタダでもらってしまった。大切にしなければ。
『あ、もうこんな時間。終電の新幹線逃したかも。』
沖「それでは、ぜひ私の家に泊まってください。と言っても私の居候している家ですが。」
『でも迷惑なんじゃ…』
沖「いえ、家の家主にはもう話はつけてあります。それにAさんとは話したいことがありますので…」
コ「ボクも一緒に行くから安心して大丈夫だよ。」
『それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな。』
私とコナンくんは沖矢さんの車に乗って、沖矢さんの居候先に向かった。
【怪盗キッドの絡繰箱編】完
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時