その99 ページ4
零「…まさかAが截拳道できるなんて知らなかったよ。」
『できるって言っても護身術程度ですよ。兄や真純ちゃんほど強くはないです。』
零「真純ちゃん?」
『妹です。帝丹高校に通ってて、蘭ちゃんや園子ちゃんと友達なんですよ。』
降谷さんはなぜか怖い顔をして考えこんでしまった。私が截拳道できることがそんなに意外だったのかな。
『降谷さん、本当にありがとうございました。泊めてもらった上に朝ごはんまで作ってくださって。』
ハムサンドを食べたあと、ハロにもご飯をあげて私は帰り仕度をした。
『これ、私とコナンくんの食べかけですけど、よかったらどうぞ。』
まさか降谷さん家に来るなんて思ってなかったから降谷さん用にはお土産を買ってない。何も渡さないのは失礼なので、食べかけの八ツ橋を渡した。
零「生八ツ橋か。また京都に行きたくなってきたな。」
『それじゃ私は帰りますね。降谷さん、仕事頑張ってくださいね。ハロも元気でね。』
零「あ、A、前会った時から気になってたことがあるんだが…」
『何ですか?』
零「そのピアス、どうしたんだ?」
『ああ、これは数ヵ月前に亡くなった兄の形見みたいなものです。兄は左利きで赤色が好きだったようなので。』
降谷さんはまた怖い顔になった。それにさっきよりもさらに険しい表情をしている。
『じゃあ帰りますね。ありがとうございました。』
零「ああ、またな…」
降谷さんは険しい表情をしたままだった。私、何か変なこと言ったかな?
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《降谷side》
Aが帰ったあと、Aが言った言葉が頭の中で何度も繰り返される。
截拳道、妹、兄、左利き、赤色…
それらから連想される人物は一人しかいない。
零「赤井…!」
赤井秀一。組織に殺されたが、実は他人に変装して潜伏しているFBI捜査官。そして俺の親友、ヒロを見殺しにした男…
まさかAがあの憎い赤井の妹だったとは…想像もしていなかった。
ということは、赤井は自分の妹の彼氏を殺したというのか!
ヤツがヒロとAの関係を知っていたのかはわからないが、もし知っていて見殺しにしたのなら、なおさらヤツを許すことはできない。
Aは俺と赤井の関係を知らない。もしヒロを殺したのが自分の兄だとAが知ってしまったら…
想像するだけでも恐ろしい。Aには口が裂けてもこのことだけは話せないな。
Aを心配する一方で、赤井への憎しみは倍増した。
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時