その119【過去編・伊達】 ページ25
無事にキャリア試験を突破し京都府警に配属されて警部に昇進したころ、伊達さんから「緊急だ、東京に戻ってこい」と連絡が来た。
一体何事だと思い、伊達さんに電話で聞いてみると、松田さんが亡くなったという。
あまりにも衝撃の内容でスマホを落としそうになる。詳しい話は東京ですると言い残して伊達さんは電話を切った。
一課長から許可をもらい、東京行きの新幹線に乗った。11月7日、萩原さんの命日に松田さんも亡くなるなんて…
伊達さんと二人でお葬式に出席し、松田さんが亡くなった経緯を聞いた。
『松田さんはどうして爆弾を解体しなかったんですか?松田さんなら余裕で解体できたと思うんですけど。』
伊「爆発の3秒前に別の爆弾の仕掛けられた場所がわかるっていう仕組みになっててな、松田はヒントを見て場所を伝えたんだ。得意のメールの早打ちでな。」
『自己犠牲ってこと…?』
伊「ああ。松田のおかげでたくさんの人が助かったんだ。立派な警察官だよ。」
『そうですね。でも、萩原さんとの約束は果たせなかった…』
伊「じゃあ俺たちが頑張るしかねぇな!」
確かにそうだ。松田さんが捕まえられなかった爆弾犯を捕まえて、私たちも二人の敵をとらないといけない。
伊「そういや、降谷と諸伏と連絡がとれないんだが、Aはどうだ?」
『私も二人と連絡つかないです。ヒロにメール送ったらいつもはその日のうちに返してくれるのに…』
伊「やっぱりな。降谷はともかく、諸伏がAに返信しないんなら何かあったとしか思えねぇな。」
『何かって、まさか死んだ…?』
伊「ハハハッ、そんなわけないだろ。松田の葬式でネガティブ思考になってるだけだよ。」
『でも、萩原さんと松田さんが亡くなって、ヒロと降谷さんとは連絡がとれないってなったらそうとしか考えられなくて…』
伊「あいつらのことだ、何か重要な任務でも任されて忙しいんだろう。心配すんなって。」
伊達さんの言う通りだとも思うけど、私は別のことも心配になっている。ヒロが私を捨てて他の人のところへ言ってしまったのではないかって。
私にとっては、ヒロが死ぬよりそっちのほうが辛い。もちろん死ぬのだって十分辛いけど。
伊「降谷の場合は自分の力を過信して無茶してそうだけどな。」
『警察学校を首席で卒業してますもんね。伊達さんでも敵わないんですから。』
伊「まあな、頭も体もあいつには敵わねぇ。でもようやく降谷と並べそうなんだぜ。」
『え?どういうことですか?』
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時