その109 ページ14
食事後、お会計しようとしたが、代金表を諸伏警部に先に取られてしまった。このままじゃまた奢られてしまう。
『今日は私が払うって言ったじゃないですか。』
諸「その気持ちだけ受け取っておきます。」
『でも…』
諸「女性に全額払わせるわけにはいきませんから。」
『…じゃあせめて割り勘にしてください。』
結局代金は割り勘で払った。車に乗って、諸伏警部に県警本部に戻ってくれるようにお願いした。同じ失敗はもう繰り返さないからね。
諸「奢られるのは嫌ですか?」
『嫌ではないですけど、なんだか申し訳なく思ってしまって。』
諸「そのように感じる必要はありませんよ。」
『でも、私だってちゃんと働いてお給料もらってるんですから、たまには払わせてください。』
国民から税金という名の給料をもらっているんだから、奢ってあげられるお金くらい持ってる。一文無しなんかじゃない!
『あの、気になってたんですけど、病院で私が諸伏警部に似てるって言いましたよね?』
諸「ええ、確かにそう言いました。」
『ずっと考えてたんですけど、全く見つけられなくて…どこが似てるか教えてもらってもいいですか?』
諸「(そんなに考えてくれていたとは…)いいですよ。似ている点は全部で4つあります。」
『4つ⁉そんなにあるんですか⁉』
諸「はい。まず1つ目は大学です。」
『大学?』
諸「ええ。Aさんが上原さんと話していたのを偶然聞いてしまったのですが、Aさんは東都大学出身だそうですね。」
『そうですけど、まさか諸伏警部も?』
諸「はい。私も東都大学を卒業しました。キャリア試験は受けていませんが。」
諸伏警部と同じ大学だったなんて全然知らなかった。上原さん、なんで教えてくれなかったんだ!
あれ?でもこれは優しくしてくれる理由になってなくない?
『2つ目は何ですか?』
諸「異動です。」
『異動?』
諸「私は一度、本部から所轄に異動したことがあります。その後、自力で本部へ戻りましたけど。」
『私も京都から長野に異動してきたから、ですか?』
諸「その通り。一度Aさんに異動の理由を聞いたんですが、人生最大の汚点だと言って教えてくれなかったので、理由まではわかりませんけど。」
『そういえばそんなこと言いましたね。その件はもう克服したので、また今度お話しますね。』
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時