その96 ページ1
コナンくんが残してくれた八ツ橋を食べながら降谷さんの家に向かった。降谷さんの家には一度自力で来たことがあるから行き方はわかる。
家の近くの時間制駐車場に車を停めて、部屋のドアの前に立った。こんな真夜中だしさすがの降谷さんも寝てるよね。
やっぱりこんな時間に来たら迷惑だから帰ろうと思い踵を返そうとすると、ドアの向こう側からハロの鳴き声が聞こえた。
もしかして降谷さんいないのかな。一応インターホンを押してみても反応がない。いないんだったら合鍵で入ってもいいかな。
鍵を開けて中に入るとハロが駆け出してきた。嬉しそうにしっぽをちぎれそうなくらい振ってくれる。たった1回会っただけなのに私のことを覚えているなんてさすが降谷さんの犬だ。
『ハロ、久しぶり。元気そうだね。降谷さんはお仕事?』
ハロはアンッと鳴いた。やっぱりこの子人の言葉理解してるでしょ。
『お願いがあるの。少し休んでもいい?すぐ帰るから。』
アンッ
どうやら許してくれたみたい。和室の床に横になると、ハロが私にくっついて寝転んだ。犬の少し高い体温が温かくて、すぐに睡魔が襲ってくる。
『降谷さんに連絡しとかないと…』
スマホを取り出して降谷さんにメールを打とうとするも、眠気に勝てずそのまま眠ってしまった。
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《降谷side》
今夜はバーボンとして任務を果たした。午前中はポアロで午後からは公安、夜には組織で働いてくたくたで家に帰ってきた。
ドアを開けるとなぜか部屋の電気がついていた。家を出た時に電気は消したし、セキュリティは万全にしてあるはず。
警戒しながら和室の扉を開けると床に一人の女が倒れていた。帰ってきた俺に気付く様子もない。まさか死体⁉なぜ俺の部屋に死体が⁉それにハロはどこ行った⁉
死体に近付こうとすると、女の腕の間からハロが出てきて、いつもと同じ様子で俺にすり寄ってきた。
零「ハロ、これは一体どういうことだ?」
ハロはまた女に近寄り、スマホを握っている女の手の甲を舐めだした。このスマホ、見覚えがある。
零「まさか、A⁉」
隠れていた女の顔を確認すると、それは紛れもなくAだった。念のため脈を測ったが正常だった。
零「ただ寝てるだけ、か?」
死体ではなくて安心した。それも見ず知らずの人間じゃなくて本当に良かった。Aには合鍵を渡してあるから、きっとそれで家に入ったんだろう。
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時