いくつもの夜を (ページ43)

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第43夜ページ43

「うわ、……いたいよ、やまだ。」

ぎゅーぎゅー抱き締めると、少しはにかむ彼の声が聞こえた。

耳元で聞こえる甘いその声に、胸が破裂しそうな喜びを覚える。

「すき、ほんとにすき、だいすき、伊野尾ちゃん。」

「ふふ、おれも。……ありがと、やまだ。」

腰に弱く回された腕にとてつもない愛しさを感じて、抱き締める腕を少し弱めた。

「どうしたの、やま、」

街灯に照らされたおくれ毛が金色に染まって、控えめに伊野尾ちゃんの魅力を際立たせる。

そっと、彼の唇にキスをおとした。

「……ここ、外なんだけどなぁ。」

「家行く？」

「んーん……まだ、ここにいたい。」

甘えるように胸に顔をくっつけた彼の柔らかな髪に、俺は口付けた。

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