いくつもの夜を (ページ15)

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第15夜ページ15

cn side

「涼介、おはよ」

ほとんどメンバー全員が揃っている楽屋に入って、なんだかどんよりしている涼介に近寄る。

「おはよ」

そう言ってまたスマホをいじり始める涼介の隣に座った。

「伊野ちゃんは？」

「大ちゃんとどっか行った」

「へぇ、また言えなかったの」

僕がそう言うとスマホをいじる手をとめて、涼介がこちらを見る。

「俺と伊野尾ちゃんの関係、そんなに嫌い？」

「…さぁ、どうだろ。伊野ちゃんが過労死しちゃいそうだからやめてほしいとは思ってるけど」

本音を言えば、嫌い。
伊野ちゃんのことも涼介のことも好きだけど、二人の関係は嫌い。

こういう軽い関係が嫌いなはずの涼介と伊野ちゃんが、こういう軽い関係になってるのがよく理解できない。

「まぁ、涼介の判断に任せるよ。涼介は正しいって、僕信じてるから」

あぁ、ずるいこと言った。
こんなこと言ったら、涼介は正しい方しか選べなくなるじゃん。
伊野ちゃんとの関係が正しくないって、涼介わかってるのに。

「ありがと。考えてみる」

そう言ってから、またスマホをいじり始めた涼介の隣で僕もスマホを取り出す。

「えーっと……」

to:伊野ちゃん

『今日の夜、空いてる？話したいことあるんだけど』

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