夜汽車に乗って ページ17
悪い夢を見た。
私と煉獄さんが隣で歩いていたら、上から大きな梁が落ちて来た。そして、私を庇うように私の背中を突き飛ばし、彼の胸には穴が開いてしまう。傷口からだらだらと血が流れ、濡れた地面の中に彼だけ飲みこまれてしまう夢。
だけれど、煉獄さんは何故だかホッとしたように微笑んでいて、私が幾ら手を伸ばしてもその手を取ろうとしてくれなかった。喧騒の中、私だけが取り残されて、辺りには雨が降り頻るところで目が覚めた。
“________________”
煉獄さんは、最後に何か言っていた。でも、そこだけ記憶に靄がかかったように思い出せないのだ。
一体何を言いたかったのだろう。それだけが気掛かりで、朝から何も手がつかない
「……A……A‼」
「…は、はい‼どどどどうしました?」
悶々と夢の回想をしていた私の意識をぐいと引っ張って来たのは我らが煉獄さん。元気な声に、素敵な笑顔。どうやら私の仕事場まで駆け付けてくれたみたいだ。
「珍しいですね。こんなお昼に会いに来てくださるなんて」
「少し空き時間が出来たのでな!君の顔が見たくなったんだ‼」
いつもお仕事で忙しいのに、わざわざ私なんかの顔を見に来てくださるなんて…。光栄過ぎて死んでしまいそう。
急いでお茶を淹れて、二人で日向ぼっこでもする事にしよう。ほのぼのとするこのひと時が堪らないのだ。ずっと続いて欲しいくらい好きだ。
「今日は柱合会議があったそうですね。しのぶが出掛ける前に教えてくれたんです」
「うむ‼鬼を連れた鬼殺隊士の処分についての裁判をしていた‼」
「鬼を連れた…?変わった人ですね。どんな方でした?」
「それはだな…‼」
煉獄さんの話によれば、鬼を連れた隊士は耳飾りを付けた少年で、鬼になってしまった妹を人間に戻す為に鬼殺隊に入ったとかなんとか。
それで、もしその妹が人を喰えば、耳飾りの少年と妹、そして水柱様とそのお師匠様は腹を切って死ぬ とのこと。
「その少年は多くのものを背負って生きて来たんでしょうね。話を聞いただけでも優しさが滲み出て来ます…」
「うむ。強く、優しい目をしていた。きっとこれからの鬼殺隊を引っ張っていく者になるだろう」
「煉獄さんのように、立派な柱になると良いですね。将来有望じゃないですか」
そう言って私はお茶を啜ろうとした。けれど、その手を煉獄さんに掴まれる。
どうしたのか と彼を見上げたら、目を細めて笑っていた。
“任務が入ったんだ。暫く会えなくなるかもしれない”
嫌な予感がした。
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橘欅(プロフ) - ネコ2世さん» コメントありがとうございます!幸せな気持ちになっていただけるなんて…光栄です!どうかこの作品をご贔屓に! (2019年11月13日 16時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
ネコ2世 - 主人公が可愛らしくて好きです!煉獄さんとのやり取りが微笑ましくて読んでる側もすごく幸せな気持ちになります! (2019年11月12日 16時) (レス) id: 6d89e33ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘欅 | 作成日時:2019年11月10日 22時