365日 (ページ34)

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『あの…お誕生日プレゼントです。
受け取って頂けたら嬉しいです。』

系さんは、一瞬動きが止まったが
カチャンとフォークをお皿に置くと
包みを受け取り、早速開けてくれた。

シンプルな革のキーホルダーに
キーフックが3つ付いており
そのひとつに鍵がついたもの。

系さんの手の中で、チャリっと音が鳴った。

「この鍵…」

『家の鍵です。
もし良かったら、いつでもここに帰ってきて下さい。』

私は、彼の帰る場所になれるだろうか。

「ああ…

使わせてもらう。」

系さんは、キーホルダーをじっと見つめたまま
包み込むようにぎゅっと握ると
顔を上げ、私の目を見て微笑んだ。

『系さん。
生きて、私と出会って下さって
ありがとうございます。』

「A…。」

系さんは、静かにキーホルダーをテーブルに置くと
こちらに近づく。
私の頬に大きな手が添えられ、反射的に目を閉じると
優しく唇が触れた。

押し付けがましかったか少し不安だったけれど
受け入れてもらえて嬉しくて
恥ずかしさもあって、唇が離れた後
照れ笑いが浮かぶ。

そんな私を見た系さんから今度は
時間をかけた、優しいけれど、食べるようなキスが絶えず降ってきた。

息が苦しくなり、床に手を着くと
系さんは私の腰に手を回し、体を支えてくれる。

そしてそのまま、滑るように自然な動作で
エプロンの紐が外された。

『け、系さん…！』

「今日は俺の誕生日なんだろ。

お前はまだ、自分の事が全然分かっていないようだからな。
俺がしっかり身体に叩き込んでやるから覚悟しろ。」

系さんは、にやりと舌なめずりをすると
外したエプロンを放り投げ
今度は先程よりも少し強引な、息をつかせぬキスが続く。

もしかすると彼には、私のくだらない心配や葛藤が
全てバレてしまっているのかもしれない。

すっかり床に背中をついた格好になり
辛うじて息つぎをするが、涙目になり肩で息をしていると
もう止められそうにない系さんと目が合う。

心臓の音が聞こえそうなくらい鳴っているのは
息切れだけが原因ではない。

系さんは、力の入らなくなってしまった私を
横抱きに抱き上げ、ベッドまで運んでくれる。

ひんやりとしたシーツにそっと降ろされると
自分の熱が背中からシーツに伝わり
私には、彼の熱が伝わってくる。

目を閉じ、彼の背中に腕を回した。