365日 (ページ32)

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「そういえば、東海林達に
お前が待っているだろうから帰れと言われたが
何かあったのか？」

『みなさんに？』

もしかして…。

『いえ。私には何もないので大丈夫ですよ。』

少し不安を浮かべた表情の系さんに
にっこりと微笑んで答える。
どうせなら夜まで黙っていようと、悪戯心が芽生えた。

「そうか。ならいい。」

私が休みだからかという結論に達したのか
系さんはコーヒーを一口飲むと、ベンチに深く座った。

彼は本を読み
私はその隣でぼんやりする。
時折、気持ちの良い風が髪を揺らし、カモメが鳴く。
この時間が永遠に続けば良いのにと思う。

太陽が西に傾き、夕陽に変わり
街がオレンジ色に染まり始める。
雲に灰色の影ができて、とても綺麗ないい時間だ。

『系さん、この後ご予定は？』

「特にない。
何か食いに行くか？
昼飯をあまり食えなかった。」

『じゃあ、よろしければ家に来ませんか？
夕飯の仕込みはほぼ終わっているので
すぐにできますよ。』

「助かる。
行くか。」

そう言い、立ち上がると
私が持っていた空き缶を取り上げ
自身のものと一緒にゴミ箱へ捨ててくれた。

『ありがとうございます。』

いつもより少し近くの隣まで駆け寄り
伸びる影と共に歩き始めた。