365日 (ページ2)

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MONSTER② ページ2

「A！こっちこっち！」

呼ばれた方を見ると
オフィス内の会議室から、東海林さんが手招きしている。
三澄さんも久部さんも一緒だった。

『お疲れさまです。
みなさん、いらっしゃったんですね。』

少しほっとして、会議室に入る。

「いや～もう朝からあれで参ったね。」

東海林さんは椅子に寄りかかり
ため息交じりにぼやく。

『もしかして彼女、先日神倉所長がおっしゃっていた
刑事局長さんのお孫さんですか？』

「そうそう。今日から2週間
経験として、UDIで研修というか体験というか…。」

三澄さんも眉を下げている。

「神倉所長も、刑事局長のお願いは
断れなかったみたいですね。」

「補助金打ち切られたら終わりだもんね。」

ひそひそと話す久部さんをよそに
東海林さんはあまり隠すことなくいつも通り話す。

『とても元気な方ですね。』

「元気すぎるよ～！Aと変わらないのに
全員名前呼びでタメ口よ。怖い！」

そういって頭を抱えた東海林さんに
三澄さんは、まあまあと背中をさする。

「海外留学されていたって言ってましたね。
海外のノリなんでしょうか…。」

久部さんも苦笑している。

「六郎ああいうの好み？胸大きいし。
早速連絡先聞かれてたじゃん。」

「いえ、僕はあまり好みでは…。
それに連絡先だって、中堂さんにも聞いてましたよ。」

「逃げ回ってるけどね。」

三澄さんが所長室をちらっと見る。

『あ、それで今…。』

「そうそう。なんでも
メンズがいないと張り合いがない！らしいよ。」

東海林さんが、その時の和山さんの真似をして
教えてくれる。

『たくましいですね…。』

「彼女、まったくめげないから
珍しく中堂さんもぐったりしてるよね。
そして夕子が苦手なタイプ。」

「ある意味貴重ですよね。
あ、すみません…。」

「A、気を付けなよ！
肉食女子は怖いから。」

「もし何かあったら私たちに言うんだよ。」

「ぼ、僕も！Aさんを守りま…」

「六郎は彼女の味方でしょ～。
胸押し当てられて、鼻の下伸ばしてたし。」

「ち…違います！」

久部さんががたっと立ち上がる。
やりとりが面白くて、久部さんには申し訳ないが
思わず吹き出してしまった。

「Aさん、誤解です！」

『大丈夫です。分かっていますよ。
すみません、面白くてつい。』

笑いすぎて出てきた涙をぬぐいながら答える私を見て
恥ずかしくなったのか、久部さんの顔が赤くなった。