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シャルルは彼の言葉に少し耳を傾ける。だが、期待はしていない。過度な期待をして毎回苦しんできたのだ。今更他人の言葉で、楽になるとも思えない。
きっと「苦しいのはお前だけじゃない」とか言ってくるのだろう。小さい時にこの『絶対記憶能力』で何度泣いたことか。その度に周りに虐げられた。忘れたいことも忘れられない。それなのに両親からこの『絶対記憶能力』というものだけ見られて、シャルル自身を全く見ない。見てほしいのはそれじゃなく、シャルルを見てほしかった。

つまり、誰もシャルル自身を見ていない。この『絶対記憶能力』だけに頼って、縋ってくる人任せな両親や、周りには飽き飽きしている。そして、そんな風に思ってる自分が一番嫌いなのだ。今にも泣きそうになるシャルルだが、彼はシャルルの気持ちを意図も簡単に汲み取った。

「やりたいこともせずに、立ち止まっていては仕方ないじゃろ?お主のやりたいことはなんじゃ?」

「音楽だよ、それ以外ない。だけど、誰も見てくれないんじゃやる意味がない」

「最初はそんなもんじゃろ?ならば、余が毎日お主の音楽を聴いてやるぞ?誰も見てない訳じゃない。埋もれているだけじゃ。ほれ、今はちゃんと余に見てもらえてるじゃろ?」

「……そういうお節介はいらないっつーの!」

「くくっ、急に威勢がよくなったわい。お主の奏でる音楽を聴ける日を楽しみにしとるぞ。その木霊する呪声は、星空が呑んでくれるじゃろうな」

「年寄りの癖に、いっちょ前にロマンチストなんだな」

知らないうちに、涙は止まっていた。流れ星がキラリと光落ちていった。それは誰かの願いであれば、叶うはずだろう。

「自分はシャルル・ローズだ。お前は?」

「余はテレーゼ・ルフェテじゃ。ローズと言ったらもしや、お主あの国の姫君か?」

「今更かよ!?」

シャルルの迷いは少し消えていた。きっとテレーゼの言うとおり、星空が飲み込んでくれたのだろう。キラリと光る星空とシャルルの身に着けているネックレスが照らしていた。

この小説の続きへ→←木霊する呪声は星空へ【シャルル・ローズ】



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(プロフ) - いろいろな作品更新されたあとありますがPCが重くて間違えて触ってしまい更新された状態になってしまいました申し訳ないです、、一応触ってしまっただけなのでみなさまの文章に言葉が欠ける、増えるなどは無いです申し訳ありません (2022年3月21日 7時) (レス) id: 62c5ad2de3 (このIDを非表示/違反報告)
理紗@プロフ一部更新(プロフ) - 作者様を巻き込みたくないので出来れば他の作者のCSSに変えた方が良いと思います (2021年3月3日 2時) (レス) id: c9fefc2be8 (このIDを非表示/違反報告)
理紗@プロフ一部更新(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。私のCSSを変えていただけないでしょうか?どうやら再配布禁止の画像を使っていたので申し訳ないですが。大変ご迷惑をかけしました。全部が違反した分けではないのですが保証も出来ないのでよろしくお願いします。 (2021年3月3日 2時) (レス) id: c9fefc2be8 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - Melcheさん» 更新お疲れ様でした! シャルルさんとテレーゼさんは前からのお知り合いだったんですね。それにしても、シャルルさん視点のお話、面白いですよね笑 軽快な書き方がとても好きです! (2021年2月22日 23時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
Melche(プロフ) - 更新終わりました!最後のオチが上手くいかなすぎて泣きそうになりました() (2021年2月21日 20時) (レス) id: 10c523e9ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:参加者様一同 x他10人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年2月3日 22時

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