水を纏わせる【アリア・リッチ】 ページ22
※アリアのお父さん出てきます。そしてグ口までいかない血の表現あり。苦手な方は控えてください。
陸に来て11ヶ月くらいの頃、水に触ることがあっても、海水ではないため体に痛みが走る。そろそろ海に入らなければならない。今はどうしても手が離せないため、手が空いてから行こうと思い、いつもより早めに終わらせて、足早に海へと向かう。
砂浜までたどり着くと、もう夕方になっていた。靴を脱げば鱗がポロポロと落ちている。
「少し怠惰が過ぎましたね」
日々が楽しく「明日海へ」と思っても、いつまで経っても明日は来ず状態だった。この機会が丁度良かったが、流石に痛すぎだ。足の裏はところどころから、鱗が剥がれたであろう痕跡がある。そこから血が出ていたからだ。この状態は海水に全身浸からないとマズイと察した。今は人の気もないため、海の中へと入る。すると、先程の痛みは柔和されていくのが分かった。ほぼ一年ぶりの海の中。泳ぎ方はちゃんと覚えていた。やはり、夕方となれば海の中は真っ暗である。深海にいけばもっと暗い。久しぶりに行ってみようか、いや……父親に会ってこようか。久しぶりの海だ、少し満喫して行くのもありだ。他の人魚はつまらない考えばかりだが、父親はそういう嵌まった考えはないので、嫌いじゃない。それに母親にも父親が元気であるというのも報告出来る。ぶくぶくと、下に沈んで行くと父親が魚の狩りをしていた。簡単に言えば食事中というものだ。食べている様がまさに肉食と言えよう。こちらに気づいた父親が、アリアの方まですごい勢いで泳いできた。今にも襲いかかって来そうだ。アリアがギッと睨み返して、威嚇すると父親はその勢いを無くす。
「お久しぶりです、お父さん」
「帰ってきたのか」
「ええ、鱗が剥がれてきたので。それで久しぶりに顔を見せようと思いまして」
「海での掟は忘れていないようで安心した」
「海では弱肉強食。喰われたものは弱者、ですよね。お母さんにも、お父さんが元気だったということをお伝えします」
すると、父親はちょっと照れている。そういうところが、母親が父親を好きになったと言える一つのポイントだろう、好きになるとは、どんな感覚なのかはこの頃のアリアはわからない。
「では、そろそろ陸へ戻ります。また戻って来ますので、その時も“よろしくお願いします”」
コクリと頷いた父親の姿を見て、上に上がっていく。海水を纏わせた海水で痛みなどなくなっていた。
「明日も頑張りましょう」
銀の聖剣【ジゼラ・ヘルファム】→←孤児と勉強【カルト・ジュー】
11人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
開(プロフ) - いろいろな作品更新されたあとありますがPCが重くて間違えて触ってしまい更新された状態になってしまいました申し訳ないです、、一応触ってしまっただけなのでみなさまの文章に言葉が欠ける、増えるなどは無いです申し訳ありません (2022年3月21日 7時) (レス) id: 62c5ad2de3 (このIDを非表示/違反報告)
理紗@プロフ一部更新(プロフ) - 作者様を巻き込みたくないので出来れば他の作者のCSSに変えた方が良いと思います (2021年3月3日 2時) (レス) id: c9fefc2be8 (このIDを非表示/違反報告)
理紗@プロフ一部更新(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。私のCSSを変えていただけないでしょうか?どうやら再配布禁止の画像を使っていたので申し訳ないですが。大変ご迷惑をかけしました。全部が違反した分けではないのですが保証も出来ないのでよろしくお願いします。 (2021年3月3日 2時) (レス) id: c9fefc2be8 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - Melcheさん» 更新お疲れ様でした! シャルルさんとテレーゼさんは前からのお知り合いだったんですね。それにしても、シャルルさん視点のお話、面白いですよね笑 軽快な書き方がとても好きです! (2021年2月22日 23時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
Melche(プロフ) - 更新終わりました!最後のオチが上手くいかなすぎて泣きそうになりました() (2021年2月21日 20時) (レス) id: 10c523e9ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ