貴方は何を信じますか？【セオドア・トラウト】 ページ12
「こんにちは。……いえ、この時間ですしこんばんは、でしょうか？」
聞き慣れないその声にセオドアは顔を向けた。そこに立っていたのは壮年期に差し掛かったばかりの男のようだ。一見するとよくいる貧しい聖職者のようではあるが、その姿を眺め続けているとどこか不気味な印象を受ける男だった。
「……誰だ、アンタは」
「私はフロウ・ラグランジュ。この地下階層にて、皆様に神の教えを説いて回っている、イヴィル教の一信徒ですよ」
フロウ、と名乗る男は虚ろな目をして、しかし片目はきらきらと輝かせながら話を続ける。彼の口ぶりは、一度だけ会ったことのある大司教に酷似しているが、声は明らかに別人のものだ。
「なんだ？改宗でも勧めにきやがったのか？」
「貴方は罪を犯しました。それこそ、死をもってしか償えない罪を。ですが、考えを改めるのは決して今からでも遅くはありません。古き悪しき考えを捨て、皆の幸福を祈り神に祈りを捧げれば、神も貴方の罪を赦すことでしょう」
「どうだかな。神が赦してくださっても、大司教サマとやらは赦しちゃくれないだろうからな」
セオドアがそう言い放つと、フロウは眉を顰めた。
「……大司教様は異教徒が嫌いです。ですがそれは異教の者たちが自らの幸福の為に他者を害しているからに他ならないから。貴方が全ての存在のことを思える方になれば……」
「アンタは何も分かっちゃいない！」
気づけばセオドアは声を荒げていた。理不尽な投獄、己を信用しないイヴィル教徒への怒り、死への恐怖、焦燥感、後悔、悲しみ、その全てがフロウにぶつけられる。
「こっちの都合なんざお構いなしで自分らが絶対正義みたいに理屈を押し付けて！オレの尊厳を踏み躙って！オレの家族のことなんか何も知らないで！何が救済だ、何が全ての存在の幸福だ！貴様らの方こそ悪しき異教徒なんだよ！」
セオドアの叫び声をフロウはただただ放心状態で聞いていた。先ほどまでの大司教のような気迫は消え失せていたが、相変わらず片目は爛々と輝いていた。
「……フロウがおかしいって言うのかい？」
フロウの口調が急に別人のようになった。まずい、とセオドアは直感した。
「フロウは正気だ、フロウはいつだってまともだ、フロウは何も間違ったことはしない！大司教様のやることは間違ってなんかない！」
フロウはそう言い残して逃げるように去っていった。
何らかの処罰が下されるだろう、と思いながらセオドアには彼を見送ることしか出来なかった。
これが最善【アーベル・ケーフィー】→←紙の上の世界観【アリア・リッチ】
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開(プロフ) - いろいろな作品更新されたあとありますがPCが重くて間違えて触ってしまい更新された状態になってしまいました申し訳ないです、、一応触ってしまっただけなのでみなさまの文章に言葉が欠ける、増えるなどは無いです申し訳ありません (2022年3月21日 7時) (
レス) id: 62c5ad2de3 (このIDを非表示/違反報告)
理紗@プロフ一部更新(プロフ) - 作者様を巻き込みたくないので出来れば他の作者のCSSに変えた方が良いと思います (2021年3月3日 2時) (レス) id: c9fefc2be8 (このIDを非表示/違反報告)
理紗@プロフ一部更新(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。私のCSSを変えていただけないでしょうか？どうやら再配布禁止の画像を使っていたので申し訳ないですが。大変ご迷惑をかけしました。全部が違反した分けではないのですが保証も出来ないのでよろしくお願いします。 (2021年3月3日 2時) (レス) id: c9fefc2be8 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - Melcheさん» 更新お疲れ様でした！ シャルルさんとテレーゼさんは前からのお知り合いだったんですね。それにしても、シャルルさん視点のお話、面白いですよね笑 軽快な書き方がとても好きです！ (2021年2月22日 23時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
Melche(プロフ) - 更新終わりました！最後のオチが上手くいかなすぎて泣きそうになりました（） (2021年2月21日 20時) (レス) id: 10c523e9ad (このIDを非表示/違反報告)
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