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さっき緩やかに降っていた雪は
私の心に呼応するように
だんだんと激しくなった。
靴に染み込む雪が
私の指の感覚を麻痺させる。
この心の痛みも麻痺させてくれたらいいのに。
家に帰る気にもなれなくて、
近くの公園のベンチに腰掛けた。
傘を持たない私は
全身雪まみれになって、
とても寒い。
体がじんじんと冷えていくのを感じる。
これから、
どうやって生きていこうか。
私は紫耀以外の人を好きになれるのだろうか。
それさえも
イエスと答えられる自信がない。
紫耀はこれから
あの子と恋をして
ハグをしてキスをして
幸せな日々を送っていくのかな。
止まったはずの涙がまた溢れて、
寒さで冷えた頬をとめどなく伝う。
紫耀は私と一緒にいる時間の中で
幸せだって思ったことはあるのかな。
わたしは、
紫耀に、
一度でもいいから、
「好きって言ってもらいたかったよ。」
泣きながら、声に出したこの想いは
雪と混ざって空に溶けて
きっと誰も知らないまま消えていく。
そろそろ体の芯が冷え切ってきた。
このままここにいると危ない、
そうは頭では分かっていても
身体が上手く動かなくて、
自分の不甲斐なさに呆れる。
「おい！」
大きな声がする。
この声は紫耀じゃない。
雪をサクサク踏む音がして、
音のする方を見れば、
私は最近この人とよく会うな、
なんて思う。
「お前、ここで何してるん？」
青白い私の肌をみて
少し震えた声でそういうのは
「廉くん。」
私のこと、
嫌いなままでいいから、
今だけ私を
「たすけて。」
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作者名：Kipi
| 作成日時：2019年1月7日 9時
