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「いち、に、さん、し、、、」
部屋のカレンダーを指でなぞりながら
残りの日数を数える。
窓の外には虹が見えて、
先程降ってた雨は
コンクリートの色を濃くしてその存在を残す。
私が紫耀を縛り付けてしまった日も
確かこんな空だった。
私の両親は
物心つく前に交通事故で亡くなった。
お父さんとお母さんがいなくても
ひとりぼっちじゃなかったのは
紫耀のおかげ。
幼馴染だった私たちは、いつも一緒だった。
雅さんの帰りが遅い日は、
紫耀がいつも夜遅くまで家にいてくれて
雷が怖くて泣いた日は、
紫耀が涙が止まるまで側にいてくれて
それが当たり前で
それが私の幸せだった。
でも、
紫耀が好きになったのは
私じゃなかった。
彼が他の子を見つめる。
それが、幼い私にとっては
どうしても我慢できないことで
「ねえ、紫耀はさ、
私をひとりぼっちにはしないよね?」
そんな愚問が口から出てしまった。
放たれた言葉は取り消さないらしい。
紫「うん。しないよ。」
そう切なそうに笑った顔が頭から離れない。
悲しみがどこかに含まれてるような、
そんな笑顔。
紫耀の中で
わたしの側にいなくちゃいけない、
とかいう義務があるのだとしたら
私の義務は
彼から離れることだ。
カレンダーを数える手が
12月24日で止まる。
あと、10日。
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作者名:Kipi | 作成日時:2019年1月7日 9時