5 ページ5
.
はい、どうぞ。って自然と助手席に座らされ、
シートベルトをしてエンジンを掛ける宮近をボーッと見ていたら、宮近が急に笑い出す。
「そんなに見られたらさすがに照れるんだけど(笑)」
「べ、つに！見てないし」
「なに、俺のこと好きになった？」
「なってない！」
「ふふ。まぁ、待つのは慣れてるんで」
そんなこと言われたらなんて答えたらいいのかわからなくて。
てか好きに、なりかけてる。
でもまだ言葉に出せるほど自信がない。
それが正直なところで。
「あんま難しく考えんなよ」
「え？」
「今日俺といたい？いたくない？」
「…いたい」
「ん、今はそれで充分だから」
よし、行くぞ。なんて髪の毛をグシャグシャにされる。
もうやめてよ、ってまた可愛くない言葉が出たけど、
宮近の優しさは充分に伝わっていて。
今日は難しいことを考えずに、宮近と楽しもうってそう思った。
「あ、ここ」
「じゃあ、着替えてきて」
「…上がんないの？」
「いいの？」
「え、あ、うん。ほら、結構待たせちゃうかもしれないし」
「どんだけ時間かかるんだよ(笑)」
でもまぁ、お言葉に甘えて。
そう言った宮近と自分の部屋に向かう。ちゃんと掃除しておいて良かった。
「はい、コーヒー。テレビでも見て待ってて」
「うん。あ、」
「なに？」
「今日はデートだから、ちゃんと可愛くしてよ」
「っ、知らないよ、そんなの！」
そう言ってクローゼットを開ければ、笑っている宮近の声が聞こえて。
もうなんであんな素直に言ってくるの？なんて思いながらも、
お気に入りのワンピースを手に取った自分に苦笑する。
いや、これは身だしなみを整えてるだけ。
そう言い訳しながら、髪も巻いた。
「お待たせ、」
「お、可愛いじゃん」
「…あり、がとう」
「ふっ、またばっかじゃないのって言われるかと思った(笑)」
「もぉ、うるさい」
「ごめんごめん。じゃあ、行くか」
どこ行くの？って聞いたら、すぐに内緒って言われた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 522人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵 | 作成日時：2021年10月14日 2時
