すのハウス２

シェアする意味３ ページ26

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渡辺side







“この家を出ていく”



涼太との言い合いで

ついカッとなって出てしまった言葉には違いなかったけど






渡「…はよ」

目「！…翔太くん…」





次の日

案外俺は冷静だった。







渡「…悪かったな昨日」

目「…いや、俺は…」






…気にすんなっつっても無理あるか。



じゃなきゃこんな早い時間に

目黒が起きてるわけないんだから。






「遅刻すんなよ」と

コーヒーを飲んでる目黒に声をかけると


そのまま俺はとある場所に向かった。








ーートントン

渡「…A、起きてる？」


「うん、どうぞ〜」




ドア越しに聞こえた声に戸惑う。



もう何年もこの家に住んでるけど、

Aの部屋に入るのは…これが初めてだったから。






扉を開くと「どうしたの？」と原稿から視線を移さないまま言ったA。


俺はその背中にきっぱりと言い放った。






渡「…俺、出ていくことにしたから」


「そっか」





それだけ言うとAは

俺に一度も視線を合わせることなくペンを走らせ続ける。






渡「…っつーわけで…仕事、行ってきます」


「うん、いってらっしゃい」





Aの予想外の塩対応に心がざわつく。




…なんだ俺

引き止めてくれるって期待してたのか…？







渡「…だっさ…」





どうせAにとって俺は

その程度の存在だったってこと。









初めて踏み入れたAの部屋。


訪ねるのはきっとこれが…最初で最後。

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