†第二十二話† トラウマ ページ24
病的な執着・・・ね。
ずきりと胸が痛んだ。そのすぐ後に過去の記憶が頭の中に流れ出て、気が狂いそうになった。俺にとってのトラウマな部分だけが頭の中心にこびりついて、酷く落ち着かない。
寺坂「おい、大丈夫かよ・・!河崎、おい!」
はぁ、はぁと息をたえまなく吐きだしてはいるが、俺の気分は落ち着かない。次第には気持ちが悪くなって、後からくる嘔吐感に気持ちが落ち着く暇なんて無かった。
周りの奴等が心配そうに俺に声をかけるが、なんて言ってるのか聞こえない。構っている気力すらもない。ただひたすらに自分自信を慰め続けた。
イトナ「・・・・か、わさき・・・河崎、A」
周りの声が聞こえない為か、か細く俺の名前を呼ぶイトナの声が鼓膜を震わせた。
はっとしてイトナの方へ向き直ると、その金色の瞳と目が合う。金色の瞳を見たのはこれで二回目だ。一回目はプールでの時、二回目は今この時。
初めて見た時に感じたあの感覚が蘇ってきて酷く気持ちが落ち着いた、気がする。
気持ち悪さが無くなって、落ち着かない感情が静まって、聞こえなかった周りの声がはっきりと聞こえるようになる。
ざわざわと俺を心配する声が鼓膜中に響いて、誰かが俺の背中をばしんと叩いた。
「ッて!何すんだよ、痛ぇだろ!」
寺坂「俺らに心配かけさせた分だ、これだけですんだことに感謝しろよ」
カルマ「本当だよ、イトナ君を構ってた君がいきなり過呼吸しだすんだよ?こっちの身にもなってほしいね」
口は悪いがそれぞれ心配してくれていたんだな、今になって初めてクラスメイトの大切さを知った気がする。本校にいただけじゃ到底経験出来ないことをE組にいると簡単に経験出来てしまう。
そんな小さな事が俺にとっては大きな意味をもった。
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一颯(プロフ) - 同性愛ものには専用のフラグを立ててください。 (2016年4月18日 3時) (レス) id: 050c8f6d1c (このIDを非表示/違反報告)
クロウサギ(プロフ) - この作品の続編見たいです!! (2015年5月18日 4時) (レス) id: 29761c99ab (このIDを非表示/違反報告)
緋腹 - この話をみてイトナ君が好きになりました!アザス!!(´∀`*) (2015年5月9日 0時) (レス) id: 5e74d9c177 (このIDを非表示/違反報告)
聖王ダークリンク - 今は………それが、お互いの為だろうからな。 (2015年4月22日 21時) (レス) id: 964e6546a5 (このIDを非表示/違反報告)
聖王ダークリンク - やはり無理か……………。いや、いいんだ。多分、最初から分かってた事だと思う……………今はまだその時じゃないってことは。あいつ自身が心を開くまでには、時間がかかると思う……………だからゆっくり待とう。 (2015年4月22日 21時) (レス) id: 964e6546a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うみしお | 作成日時:2015年4月19日 21時