†第一話† 幻 ページ3
「あ"ぁあ"あ" ー!あぢぃいー」
何でこんな暑い中、しかもこんな森の奥に教室なんてたてんだよ。
焦げそうな日差しの中、E組の教室へと続く長い道のりを延々と歩く。
車での登校が多い俺にとっては一人で、しかも夏の日にわざわざ歩いて登校する必要が分からない。
あ"ー・・・クーラーのついた車に乗りてぇー。
そうはいっても誰も周りにはいなく、ましてや車なんて物は何処にもない。
なんだか歩いても歩いても先に進んだ気がしないし、進んでるなんて思っているのは俺だけで本当は数センチも進んでないんじゃねーか?
暑さのせいで汗は出るし、喉は渇くし、もう散々だ。
水を飲もうと水筒を斜めに傾けるも、一滴しか水は落ちてこない。嘘だろと水筒を大きく振るが、ここに来る前までは聞こえていた水音が聞こえない。
ここまで来て水なしで進むのか?
ふと、上の方を見てみたが気が遠くなるほどの道のりが続いており、教室にたどり着く頃にはもう俺は病院行きだ。
仕方なくそこらの木陰に腰を下ろしてぼーっと前を見つめる。
目の前にあるのはいたって平凡な木、木、木、木・・・。
いや、なんかだんだん形が変わってきたような・・・ぐにゃってしてきて歪んで見える。
しかもさっきから感じてた気持ち悪さがもっと酷くなって、頭痛がしてきた。
痛む頭を抱えながら、木に手をつきふらふらと立ち上がる。
先へ進もうと、前を見ると何か黄色い物がこちらへ近づいて来ていた。ぐらぐらと焦点があわない視界に黄色い塊がぐにゃりと歪んだ。
何か言ってるようだけど俺にはよく聞こえない。周りも静かだ。
これは熱中症というやつだろうか、なんて至って冷静に考え始めていた。
だんだんと視界が暗くなっていって、物の距離感が掴めない。
どうやって俺は立っているのだろうか、ふわふわとした無重力みたいな感覚の中で光る物が見えた気がした。
咄嗟に手を伸ばして掴もうとしたが、暗くなった視界に飲み込まれてしまう。
また、この感覚だ。
そこで俺は暗くなった視界に意識を委ねた。
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一颯(プロフ) - 同性愛ものには専用のフラグを立ててください。 (2016年4月18日 3時) (レス) id: 050c8f6d1c (このIDを非表示/違反報告)
クロウサギ(プロフ) - この作品の続編見たいです!! (2015年5月18日 4時) (レス) id: 29761c99ab (このIDを非表示/違反報告)
緋腹 - この話をみてイトナ君が好きになりました!アザス!!(´∀`*) (2015年5月9日 0時) (レス) id: 5e74d9c177 (このIDを非表示/違反報告)
聖王ダークリンク - 今は………それが、お互いの為だろうからな。 (2015年4月22日 21時) (レス) id: 964e6546a5 (このIDを非表示/違反報告)
聖王ダークリンク - やはり無理か……………。いや、いいんだ。多分、最初から分かってた事だと思う……………今はまだその時じゃないってことは。あいつ自身が心を開くまでには、時間がかかると思う……………だからゆっくり待とう。 (2015年4月22日 21時) (レス) id: 964e6546a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うみしお | 作成日時:2015年4月19日 21時