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しばらくして
また江ノ島へ向かおうとした時
まだこの時期は空気が澄んでて
日の出前の朝焼けがすごい綺麗だから
見てもらいたい
海斗にそう教えてもらったから
今日は早めに向かった。
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防波堤でカメラを持って待機していた
今日は雲ひとつないからいいのが撮れそうだ
すると
海岸へ向かおうとするAを見かけたから
声をかけて
「こっちこっち」
と手招きした
少し躊躇していたのは泣き顔が
見られると思ったからかな
「まだ暗いけどもうすぐだと思う」
暗闇を突き破るように
地平線から明るいオレンジの色が広がって
空が紫とオレンジのグラデーションになった
朝焼けで空と海が同じ色になる
とても綺麗な瞬間だ
「ほんとだ…すごい綺麗」
《全く同じ景色は二度と見られない》
気づかれないように
朝焼けとAの写真も撮った
ファインダー越しで視線を誤魔化しながら
Aを見ると
朝陽はまだ出ていないのに
唇を噛んで泣きそうな顔をしていたから
おもわず手を握ってしまった
「え？」
と声がしたけど聞こえなかった振りをして
「マジックアワーって言うらしいよこの現象」
なんてカッコつけて言ってみたけど
内心はドキドキしすぎて
手汗かいてないかとか
色んなどうでもいい事が頭を巡る
また横目で見ると
初めて朝陽を見て泣かない君を見た
『どうか君が泣かない日もありますように』
と願ってた事を思い出す
どうか
もう少し
もう少しだけ
この時間が長く続きますように
俺はまた祈って
朝焼けからの日の出を
2人で見ていた
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作者名：いろは | 作成日時：2021年2月21日 13時
