イライさん家のメイドさん【第五人格】 (ページ5)

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４話ページ5

「ほ、ほらここがぱんけーき屋さんだよ。」

「見ればわかります。」

イライ様に連れられてきたのは、最近第五学園の女子生徒の話題にもよく挙がっているパンケーキ屋さんだ。

イライ様連れてきてくださったけど・・・

「もしかしてパンケーキご存知ではないのですか？」

「わかるよ！ぱんけーきでしょ、あの・・・あのぱんけーき。」

徐々に自信を無くしながらたどたどしくぱんけーきと口にする姿が

「かわいい・・・」

「え、可愛い？」

「え、ええ。このパンケーキ可愛いなぁと。」

「確かにね。Aもやっぱり女の子なんだね。」

いえ、可愛いのはイライ様貴方ですが。

平日ということもあり、そんなに並ばずに入ることのできたパンケーキ屋さん。

店内は甘い香りで満たされている。

お店には学校終わりの女子高生達や、大人のカップルなど様々な客層で賑わっていた。

「お客様、こちらの窓側の席でよろしいでしょうか。」

「ああ、ありがとう。」

にこやかに返すイライ様を見て、若い店員は頬を紅く染める。

「(これは惚れたな)」

「窓側の席だって。いい席でよかったね。」

「ええ、そうですね。」

そんなことはちっともわからない、というように無邪気な少年のような顔で私に話しかける。

彼が表情を崩すのは私と・・・あのジルマン様の前だけだ。

ジルマン様とイライ様の仲は私とイライ様が知り合うよりずっと前からのものだ。

「(それを私が壊せるわけもない。まず壊そうだなんて考えること自体がいけないことなんだ。)」

それでも先ほどのお昼休みのことを考えると胸が痛む。

「A？また暗い顔してるよ、大丈夫？」

「はい、大丈夫ですよ。」

「ならいいんだけど・・・。」

心配してくれているのに。

人の気も知らないで、なんて自分勝手なことを考えてしまう自分が嫌いだ。