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「えっ、知り合いですか？」
丸山さんがおどろいた顔で私のほうを振り向いた。
「いつも会社に行く途中に迷い猫の貼り紙を見るんですけど、その、迷子のコです。たぶん。」
私はそう説明しながら、さっき買った猫用のおやつをコンビニのレジ袋から取り出す。おどろかせたりしたら逃げてしまうかもしれないから、フキちゃんのほうを見ながらゆっくりと。
「…ちゅーる、食べる？」
しゃがみ込んで袋を切ったおやつを差し出してみると、フキちゃんは臆病な目つきでこちらを見上げた。
「怖くないよ。大丈夫。」
わずかに緊張しながら手をもうすこし伸ばしてみる。もし逃げてしまったらまた運良く誰かに見つけてもらえない限りフキちゃんは家に帰れない。
だけどフキちゃんはゆっくりと私の足元までやってくると疑り深くすんすんと鼻を動かして、袋からとび出たとりささみ味のペーストをぺろりと舐めた。
それからは文字通り味を占めたように、フキちゃんはおやつに夢中だった。
「おいしい？」
当然返事なんかしないで、食べるのに一生懸命なフキちゃんを見て、私はまたレオを思い出す。
いつもはドライなレオもこのおやつへの情熱はすごかった。前足で催促してくる姿が、らしくなくてかわいくて。
あまりエサを食べなくなったって妹は言ってたけど、これも食べなくなってしまったんだろうか。
「よかったなあ。Aさんに見つけてもろうて。」
ふと横を見るといつの間にか丸山さんも私のとなりにしゃがみ込んでいて、目を細めてフキちゃんを眺めてた。
こんな風にタツ以外の誰かがとなりにいるのって、ずいぶんと久しぶりな気がする。
慣れなくて、心が落ち着かない。となりにいるのが日なたのひとなのもますます慣れなかった。
「うちのクマもその味好きなんやけど、キミも魚より肉派なんか？」
だけど丸山さんは私がそんなことを思っているなど知るはずもなく、夢中で食べているフキちゃんに話しかけている。
また風が吹いて、私はマフラーに頬をうずめた。
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蒼 夢見子(プロフ) - まゆ☆まゆさん» まゆ☆まゆ様、お久しぶりです…！早速コメントくださりありがとうございます。かなり前のお話をまだ読み返していただけてうれしいです…(T . T)少しずつの更新にはなりますがお付き合いいただけると幸いです！ (2022年11月20日 18時) (
レス) id: a5f8e6e331 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - お久しぶりです。数日前に満月の夜は〜を読み返したばかりです(^^)また蒼夢見子さんの新作読めるの嬉しいです♪続きも楽しみにしてます。 (2022年11月20日 6時) (レス) id: 9548b7921c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2022年11月20日 0時
