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(you-side)
その笑い方に、やっぱりこの人が仕組んでいたのだと確信を抱いて。
「出ていってくれますか」
だけど、相手にすれば真鍋さんは余計に面白がるだけだと、そう言えば。
裕「つれないなー。「助けてください」ってお願いしてくれたら考えても良いよ?」
「結構です」
裕「前から気になってたんだけど、綾瀬ちゃんって何でAAA続けてんの?」
突然聞かれて、つい眉を寄せる。
「AAAにいたいから。それ以外に理由はありません」
裕「でも綾瀬ちゃんって、昔…歌が原因で家族が壊れたんだよね?」
「……何が言いたいんですか?」
何となく聞いては聞けないがして。
だけど、聞かないといけない気もして。
裕「大事大事って口では言ってるけど、散々AAAを引っ掻き回してるのも綾瀬ちゃんだよね」
ポンと肩に手が置かれて、耳元で囁かれる。
裕「綾瀬ちゃんの事だから、家族崩壊したのもわざとじゃないんだろうけどさ、」
「…」
裕「AAAの事もいつかそうやって、綾瀬ちゃん自身が潰しちゃったりして」
ドクン、と。
胸の鼓動が大きく音を立てる。
──こんなの相手にしちゃダメ
──信じるべきじゃない
頭では分かってる。
裕「悪意のない罪ほど、皮肉なものはないよね」
見失ってはいけないものがある。
私にだって築き上げてきたものはある。
裕「どれだけ人を不幸にしても、歌から逃れられなくて、歌にしがみつき続けて……家族の代わりにAAAにしがみついてるのかな?」
でも、もしかしたら。
目を背けていただけで。
裕「それってさ…結局、綾瀬ちゃんが1番残酷だよ」
……いや、本当はとっくに気付いていた。
「……、」
裕「そろそろ撮影再開だよね。じゃあ頑張ってね」
真鍋さんが去ってからも私は暫く呆然としていて。
心ここにあらずのまま、気付けば今日の撮影は終わっていた。
今日は歩きたいからと、上野くんの送迎を断って。
1人で家までの道のりを歩く。
電車やバスを使うこともせず、何時間もかけて歩き続けて。
頭の中で、真鍋さんの言葉が何度もリピートされていた。
──AAAを守りたい
──私はAAAが大好きだ
そう思えば思うほど、私の想いは空回りして。
──私はいつのまにか、
──……AAAに家族を重ねていたのかな
それだけなら別に良い。
だけど、本当に怖いのは。
──昔と同じように、私のせいでAAAが壊れてしまうかもしれない
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海(プロフ) - くみさん» ありがとうございます!楽しんで頂けて、とても嬉しいです♪しかもかなり長かった筈なのに一気読みして頂いたとは…!本当にありがとうございます!マイペース更新ですが、これからも精一杯頑張りたいと思いますので、よろしくお願い致しますm(__)m (2019年6月22日 8時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - ものすごく楽しいです!!昨日から一気に読んでしまいました!これからも楽しみにしてますね! (2019年6月21日 12時) (レス) id: 9ac3551b76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2019年3月24日 19時