カクテル 21 ページ21
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「飛貴、どこ行くの?」
「そうだなあ…公園でお散歩でもしよっか」
飛貴に手を引かれ 花畑が隣接する大きな公園にやってきた。すう、と息を吸い込むとお花のいい匂いが鼻の奥に広がる。
…なんか、リラックスできるなあ。昨日は色々考えちゃって眠れなかったから。
「俺ね、Aと付き合ったらここに来たかったんだあ」
「付き合ってないけどね」
「もうっ、それは言わないでよ!今日はデートだもん、実質付き合ったようなもの!」
「ええ?それは違うよ」
意味わかんないし!
ふふ、とつい笑いが溢れる。
私の顔を見た飛貴は、なぜか嬉しそうに繋ぐ手に力を入れた。
「可愛いなあ、Aは」
「飛貴ならもっと上いけるんじゃないの?」
「ううん、俺が可愛いって思うのはAだけだよ?まだ言い足りない?」
風で乱れた前髪を指で梳かした飛貴は悪戯っ子のように私の顔を覗き込む。
不本意にも赤くなる頬を隠すように手を離し背中を向けると、後ろからお腹に手が回り今度は鼻いっぱいに飛貴の匂いが広がった。
…人がいないからって好き放題しないでよ、そんな言葉が喉の奥に身を潜める。
「向こうにクレープ屋さんあるよ、行く?」
「行くから離して!」
「照れ屋さんだなあ」
照れ屋さんどうこうじゃなくて。
付き合ってもないのにこんな事すると、また那須くんに気持ち悪いって言われちゃう。
…ま、もう会うことはないだろうけど。
飛貴がこっちを見ていないのを確認して、ため息をひとつ吐いた。
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Mappy(プロフ) - 最後の場面とっても素敵ですね! 思わず二度読んでしまいました (2020年3月21日 23時) (レス) id: dbbbb4e0c8 (このIDを非表示/違反報告)
pii27(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!飛貴くんとくっついて欲しいような気もしちゃいます笑! (2019年10月9日 13時) (レス) id: 55d6c8d2d6 (このIDを非表示/違反報告)
まお - 続きが楽しみです! (2019年9月23日 9時) (レス) id: 4581f1bec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蕎麦リアン | 作成日時:2019年9月21日 20時