□ 耳元で愛を叫ぶ【K.Y】続

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｢１回だけ奇跡的に美味しかったのあったよね…なんだっけな｣

｢マドレーヌ！あれは廉にも褒められた｣

｢もうそれ渡せばいいじゃん〜…｣







そう言うと、誰にもあげてないものを岸にあげたい、とAは言った。


あまり見ない照れ顔に、可愛いなぁなんていつもは思わない感情と共に、この顔を引き出す岸くんは凄いと思った。









｢それよりカヌレ、どう…？｣


｢不味いに決まってんじゃん！見た目からして！｣


｢やだ、海人ひどーい。｣


｢もう…明日は何？｣








聞くと、少し考え込んだ後 マフィン！と言った。

お、ちょっと期待できそう。









｢まあ、あんま無理しちゃだめだよ。隈、できてる｣


｢うん、大丈夫！｣


｢美味しいのできたら岸くんだけじゃなくて 俺にも頂戴ねー？｣


｢被験者だからね、任せて｣









被験者って、ちょっと笑っちゃった。




何にせよ努力する女の子は 可愛いよね。

彼氏の為にお菓子作りを頑張るなんて、もうめちゃくちゃ可愛い。俺が彼氏だったら抱き締めてるわ！









｢…あ、岸だ｣


｢行ってきなよ、ダークマターは俺が預かっとくから｣


｢ふふ、ばーか｣









今までで一番の笑顔を浮かべて 走り去っていく。





廉や紫耀が しぬほど欲するポジションを、岸くんはゲットしたんだ。




ダークマターくらい きっと受け入れて貰えるよ。









うん、やっぱり恋をすると可愛くなるって ほんとうなんだ。







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