【ONEPIECE】ごめん、離せない。 (ページ10)

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▷ 幼少期９ページ10

「……A、逃げろおおお！！」

⚚

なぜ、自分がこんなにも必死に走っているのか、脳内処理が追いつかない。さっきまでマキノのさんのお店で、私とマキノさんとルフィで楽しくお話していただけなのに。そこにアイツらが、山賊達が、乗り込んできて、それで……

「シャンクス達をバカにするなよ!!」

……そうだ。店で飲み始めた山賊達が私達の前でシャンクスさん達を愚弄し始めて、それを聞いたルフィが山賊達に絡んで連れて行かれたんだ。そのついでにルフィの隣に座っていた私も連れていかれそうになったとき、ルフィが私を逃がしてくれて……。

マキノのさんの店から逃げ出せたは良いけど、このままだとルフィがどうなるか分からない。あの山賊達がシャンクスさん達みたいに良い人達だったら良かったけど、あんな乱暴な人達が良い人なわけが無いから祈るだけ無駄だ。誰か、大人に助けを呼びに行かなきゃ。

村長さんの所にはマキノさんが行ってる。だけど村長さんは戦えるような体じゃない。戦えそうな人を連れてこないと……！

ぐるりと辺りの民家を見渡すと、窓から外の様子を伺っている住民達が私と視線が合うなりカーテンを閉めて見て見ぬふりをする。すぐ近くではルフィが山賊達に暴力を振るわれているというのに、誰も助けてくれない。

(皆、山賊が怖いんだ。だから、助けてくれないんだ)

どうしてと責めたいけど、責められない。人の命の責任を私は取れないし、なにより私自身もルフィを助けに行けてない。所詮、何も出来ない私も皆と同罪。いつも私を守ってくれる、私のヒーロー。でもそのヒーローがピンチの時に助けに来てくれるヒーローはいない。じゃあ、ヒーロー(ルフィ)はどうなっちゃうの……？

地面に放り投げられるルフィを物陰から見つめる。次第に視界が潤みだす。ルフィが、死んじゃう。そんなのいやだ。ルフィは、私の、わたしの、大事な友達なのに。やめてよ……！！

ぎゅううっと瞼を閉じると、涙がぽろりと溢れて頬を伝った＿＿そのとき。

「＿＿誰かと思えばAじゃないか」

「しゃ、シャンクスざんﾞっ……！！」

背後でジャリ、と地面を踏み締める音と共にしばらく聞いていなかった懐かしい声が耳に届いた。涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら後ろを振り向くと、そこにはすました顔のシャンクスさんが立っていた。